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風魔の小次郎 風魔血風録
64部分:第六話 霧の中でその十一
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賭けたものだ」
「そうだ」
 竜魔のその言葉に頷く霧風だった。やはり前を向き背中から竜魔の言葉を聞いている。竜魔は彼の背のところで立って話をしている。
「忍の戦いは命を賭けたものに他ならない」
「あいつは今までそれがわかっていなかった」
 これは霧風も知っていることであった。
「それが変わってきているな」
「大きな成長になればいいな」
 竜魔は言った。
「あいつにとってな」
「それであれば二人の負傷も意味があるか」
「こう言えるのも二人が無事だからだ」
 竜魔の言葉は本音だった。彼等にしろ仲間達を失うのは辛いのだ。
「ここで命を落としていれば」
「とてもそうは言えないな」
「そういうことだ。では」
 竜魔はすっと霧風の背から離れた。そうして廊下を先に進もうとする。霧風はその竜魔に対して問うた。やはり彼に背を向けたままで。
「何処に行く?」
「林彪のところだ」
 こう霧風に告げた。
「様子を見にな」
「少しずつ起きれるようになっている」
「そうか。無事回復しているのだな」
「戦いは当分無理のようだがな」
 霧風は一つ言い加えた。
「それでも起きれるようにはなった」
「いいことだ。では行って来る」
「ああ」
 霧風は目を閉じて頷いた。竜魔はその頷きを受けて先に進む。風魔の者達も今は静かな世界の中にあった。これからの戦いという嵐を前にしていても。


第六話   完


                2008・5・13

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