暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
ANSURY其は恐怖に彩られし宵闇の化身なる者〜LeseFear〜
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? ルシル君がそう言うなら信じる』

嬉しいことを言ってくれたはやてが、すぐに少し沈んだ表情を浮かべたことに気付いて「何かあったのか?」そう訊いてみると、彼女は僅かに逡巡した後に『プライソンが急死したんよ』と答えてくれた。

(どういうことだ? まさかオリジナルの死と直結していたのか・・・?)

オリジナルであるプライソンすら知らなかったのだろうか。オリジナルとクローンの生死直結を。まぁいい。これで俺の正体がプライソンから漏れることはなくなった。

『ルシル君の複製能力や左目の視力について、なんも聴き出せへんかった・・・。ホンマにごめんな・・・』

はやてが沈んでいた理由がそれだった。複製権限はオリジナルから取り戻した事を伝えるべきだろうが、ここは「レーゼフェアが持っているかもしれない。だからそう不安がるな」と伝えておく。どの道、俺の左目の視力は取り戻せていないしな。レーゼフェアから視力と一緒に権限も取り戻した、ということにしておこう。

『・・・ホンマにゴメン』

「大丈夫だよ、はやて」

『うん。そんじゃルシル君。気を付けてな。ちゃんと帰って来――』

「ん? はやて・・・?」

突如として音声が途切れた。モニター越しのはやては何か喋っているようだが、残念ながら聞こえない。試しに「はやて」と呼ぶが、俺の声もどうやら向こうに届いていないようだ。そのことに気付いたはやても口をパクパクとしている。

「・・・じゃあ、アグレアスは必ず止めるからもうしばらく耐えてくれ、っと」

俺は人差し指に魔力を付加し、宙に指を走らせてそう文字を書いていく。はやてが力強く頷くと口パクで、待ってる、と返してくれた。そして微笑み合いながら通信を切った。

『マイスター・・・! 距離300m先、神秘を確認』

アイリから報告が入ったことで、俺もレーゼフェアの神秘をハッキリと捉えることが出来た。全長数kmの“アグレアス”内を翔け、「あそこだな・・・」スライドドアを視認する。

『あのねマイスター。リアンシェルトの事で悩むのはしょうがないと思う。でも今は、このアグレアスを止めるために・・・』

「アイリ・・・。すまない、ありがとう。そうだな、今は・・・」

ミッドを救うのを優先しなければ。リアンシェルトについては今回の一件が片付いてから問い質せばいい。これまでの事を考えればはぐらかされるだろうが、それでも強引に聞き出してやる。

「アイリ、恐らく苦しい戦いになる。負担も大きいだろうが・・・」

『それについては気にしないでね。アイリはマイスターを支える融合騎だもん。辛いことも精いっぱい受け止めるよ。だってマイスターの事が大好きだもん。一緒に戦って一緒に勝とう。ね?』

「本当に俺には勿体ない相棒だよ」


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