【写真の中の久遠】
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「ネジ兄さん、ちょっとの間だけだから、ハナビをお姫様抱っこしてあげて? …ねっ」
ヒナタが向けてくる屈託のない笑みに負けたネジは、仕方なしにハナビを横に抱き上げる。
「いぇ〜い、姉さまこのまま撮ってー……」
「…………」
ピースサインして満面の笑みをカメラに向けるハナビだが、ネジは無表情を顔に貼り付けているので姉が撮りづらそうにしているのに気づいたハナビは、従兄の片頬をつねる。
「ちょっとぉ、兄さまも笑ってよおっ。さっきは姉さまと一緒に笑ってたじゃない!」
「──そうでしたか?」
素知らぬ顔で目線を逸らすネジ。
「ネジ兄さん、私……兄さんがたまに見せてくれる笑顔、大好きだよ」
「・・・───」
ヒナタに微笑まれながらそう言われたネジは、僅かに恥じ入った表情になりつつも、姫抱っこされて弾けた笑顔のハナビと共に微笑みを浮かべてカメラに収まった。
「二人共、とってもいい表情が撮れたよ」
「……ハナビ様、降ろしますね」
「兄さま、無表情に戻るの早すぎぃっ。──それじゃ今度はカメラの三脚使って三人で撮るよ〜! わたしとヒナタ姉さまで、ネジ兄さまを挟んじゃおっ♪」
「えっと、カメラにセルフタイマーをセットして……」
「姉さま、早く早くぅ!」
「うん、OK…! わっ?!」
ネジとハナビの元に戻る際、躓いてしまったヒナタをネジが咄嗟に抱き支える。
「──大丈夫ですか、ヒナタ様」
「ご、ごめんなさい、ちょっと躓いちゃって・・・──」
ヒナタはこの時、眉目秀麗な間近のネジに思わず見惚れてしまって固まり、その間にセルフタイマーのシャッターが切れる。
「……どうしました?」
「なっ、何でも、ないです…! と、撮り直し、だねっ」
「では、俺がセットし直しますね」
「ネジ兄さまぁ、こっちに戻って来る時わざと躓いてヒナタ姉さまに向かって胸に手が触れて、ラッキースケベとかしちゃダメだからね〜!」
「妙な妄想はやめて下さい、ハナビ様……」
ヒナタとハナビに間近に挟まれながらネジは、従兄妹三人でカメラに収まった。
「…兄さま、ちゃんと笑った?」
「多分笑いましたよ」
「多分ってなに! もう何枚か三人で撮ろうよ。…そうだネジ兄さま、ダブルピースして見せてっ?」
「ダブルピース……、これですか」
「ネジ兄さん、それ……点穴突く時の二本指の構えだよ」
そっと突っ込みを入れるヒナタ。
「姉さまも、兄さまにお姫様抱っこしてもらえばっ?」
「えっ、え……?!」
「それとも逆に、ヒナタ姉さまがネジ兄さまを姫抱っこ──」
「却下します」
……日
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