【写真の中の久遠】
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桜の季節が過ぎた、ある晴天の日の日向家敷地内にて。
「──ねぇヒナタ姉さま、ネジ兄さま、わたし達ってほとんど一緒に写真撮ったことないよね?」
「そういえば……そうだね」
「それはそうでしょう、ヒナタ様とハナビ様は日向宗家であって俺は分家なのですから、共に写真に収まるなど──」
「はいはい、宗家と分家の話はそこまで。……従兄妹同士として写真撮ろうよ、カメラ借りてきたしっ」
「そうしましょう、ネジ兄さん」
「いや、しかし……」
「じゃあまずは、わたしがネジ兄さまとヒナタ姉さまのツーショット撮ってあげるね! …ほら兄さま、もっと姉さまに近寄って!」
「──・・・」
しかしネジは、ヒナタから微妙に距離をとる。
「ね、ネジ兄さん……、もう少し近寄ってくれてもいいんだよ…?」
「遠慮しておきます」
「なにテレてるのネジ兄さま、ヒナタ姉さまの肩に手を回すくらいしてみたらっ?」
「しませんよ」
「…………」
ハナビから促されようと乗らないネジに、むしろヒナタからそっとネジに肩が触れ合うほど寄り添う。
「!」
「そうそう姉さま、いい感じ〜! そのまま兄さまの肩に頭寄せちゃえばっ?」
「ふふ、そうしようかな」
「!?」
ヒナタは妹に言われた通りにし、そうされたネジは固まったがハナビはお構い無しにそのまま何枚か連写する。
「…ネジ兄さま表情カタいよ、ほら笑って笑って!」
「────」
半ばヤケになって得意げな表情をして見せるネジ。
「兄さまそれドヤ顔すぎぃ! 普通に笑って見せてよ、フツーにっ!」
ハナビの指摘にネジは仏頂面になってカメラから視線を逸らす。
「ネジ兄さん」
ヒナタは一旦従兄の肩に寄せていた頭部を離し、ネジに呼びかけ自分の方に顔を向けさせると、にこやかな笑顔をして見せた。
── 一瞬きょとんとしたネジだが、ヒナタの笑顔につられるように、優しく微笑み返す。
互いに向き合って微笑み合う二人を、すかさずシャッターチャンスとばかりにパシャパシャ連写するハナビ。
「ふっふ〜ん、いいの撮れたよ! じゃあ次はわたしとネジ兄さまねっ。ヒナタ姉さま、撮るの代わって〜!」
「うん、いいよ」
「……ハナビ様、そんなに引っ付いてこなくとも良いでしょうに」
ハナビはネジの片腕に両腕を絡めてぎゅっと抱き付いている。
「だってこうしとかないと兄さま離れようとするでしょ〜? ……あ、そうだ。ねぇ兄さま、わたしをお姫様抱っこしてよ!」
「嫌です」
ネジの即答に、ハナビは駄々をこねるフリをする。
「ヒナタ姉さまぁ、ネジ兄さまがイジワルするぅ〜っ」
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