暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ガンダムW
1675話
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「あっ、いや、別に俺はそんなつもりは……」
「はいはい、もうそろそろ出来るから、あんた達も席に着きなさい」
「え? あ、うん」

 てっきり何かされるかと思ったのだろう。怯えた様子のデュオだったが、凛が予想外にあっさりと自分を許した事に驚きながらも、席に着く。
 ……一緒に食堂に突入してきた五飛の方は、凛の姿を見て驚いた様子だったがそれでもデュオのように直接驚きを口にしたりはしなかった。
 この辺がデュオと五飛の性格の違いといったところか。
 そうして俺達が席に着くと……うん? 料理が出来たと思ってたけど、また凛が中華鍋を振り始めた?
 多少疑問に思ったが、それでもすぐに料理は完成し……やがてテーブルに何皿も並べられていく。
 水餃子、酢豚、青椒肉絲、エビチリ、回鍋肉、八宝菜、麻婆豆腐。
 典型的な中華料理の数々だが、この短時間で出来たとは思えない程の量。
 どれも湯気を立てており、食欲を刺激する香りを周囲に漂わせていた。

「はい、それとこれ」

 最後に出されたのは、白米……もしくは銀シャリと呼ばれているものだ。
 中華料理に白米というのはジャンル的にはどうかと思うのだが……それでも日本では普通のことだし、何より美味そうなのは間違いない。
 そうして凛が俺の隣に座る……前に、何故かデュオの前にだけ麻婆豆腐の入った皿を置く。

「え? 何だよこれ?」
「デュオの麻婆豆腐よ。デュオはこれを食べてからでないと、他の料理を食べちゃ駄目ね」
「ちょっ、待てよ、おい! 何かこれ麻婆豆腐っていうか、溶岩の中に豆腐が浮いてるんだけど! しかも痛っ! 何だか湯気が目に入っただけで痛いぞ!?」
「デュオの麻婆豆腐よ。デュオはこれを食べてからでないと、他の料理を食べちゃ駄目ね」
「おい、ちょっと待て! 本気か!?」
「デュオの麻婆豆腐よ。デュオはこれを食べてからでないと、他の料理を食べちゃ駄目ね」

 ……まるでRPGで出てくる村人が何度話し掛けてもここはどこどこの村ですとしか言わないように、凛は同じ台詞を繰り返す。

「食えるのか、あれ?」

 麻婆豆腐を見ながら思わず呟くと、凛は俺の隣で笑みを浮かべる。

「綺礼は喜んで食べてたわよ。だから大丈夫」
「……そうなのか」

 いぢめっ子の笑みを全開にしている凛を見れば、俺はそれ以上の言葉を口には出来ない。
 というか、もしここで下手に凛の機嫌を損ねるような真似をすれば、あの地獄麻婆豆腐が俺にも振る舞われる可能性があるのだ。
 その危険を考えれば、ここは大人しくデュオを生贄に捧げた方がいいだろう。
 実際、綾子と五飛の2人も俺と同じ意見なのか、デュオの方は見ないまま料理に手を伸ばしている。
 うん、まぁ……凛を相手に口を滑らせたんだし、仕方がないか。
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