第九話 プラウダ戦を見ます! その4
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「勝ったのは相手が油断したからよ」
しほが言うとまほがすかさず口を開いた。
「いえ、実力があります」
「実力?」
「みほはマニュアルに囚われず、臨機応変に事態に対処する力があります。みほの判断と、心を合わせて戦ったチームの勝利です」
まほがそう言うとしほは少し不機嫌な表情となった。
「あんな物は邪道……決勝戦では王者の戦い方を見せてやりなさい」
「西住流の名に懸けて」
「ばーちゃんの名に懸けて!」
まほはそう答えたが、いきなり隣から千秋のセリフが飛んできて、真剣な雰囲気が壊された。
「……千秋さん。邪魔しないでください」
「私、シリアス嫌いなの。だから邪魔した!」
しほがジト目になりながら言ったが、自分勝手な理由で拒否する千秋。
「そんな理由で家庭内の話にちょっかい出さないでください!」
「わかったよ、だからそんなに怒らないの。もっとリラックスして喋ればシリアスにならないからさぁ〜」
「あの……千秋さん」
「なにまほちゃん?私も右目、見る?」
「いえそうではなくて……」
まほが話しかけてきたので千秋はしほを無視してそちらに集中することにした。
「その……悲しくないんですか?」
「悲しい?何が?」
「プラウダには娘さんがいらっしゃるんですよね?負けてしまったんですよ?西住の姓を持つ者に……」
まほは言ったあと少し悲しげな表情となったが、千秋にはなぜ悲しむのかということが理解できなかった。
「私は悲しくないよ。でも千雪は悔しいとか悲しいとか思ってるはず。でも私は全然悲しくないね」
「なぜです……?」
「なぜ、それは簡単だよ。知ってたからさ」
「知っていた……?」
千秋は頷き言った。
「千雪が負けるのを知っていたからさ。ちなみにカチューシャちゃんもノンナちゃんも私の教え子だからね。練習や試合の成果を見て、出した結論が千雪、ひいてはプラウダが『西住みほ』に敗北する。最初から試合の結末を知っているんだから悲しくもなんないよ」
そう言い切ると後ろから雪を踏みしめる足跡が聞こえてきた。
三人が振り向くと二人の女性が立っていた。
まほはその姿格好に驚いたがしほと千秋は驚くことは無かった。
二人の女性が着ていたものはカーキ色の軍服、大日本帝国陸軍が使用していた軍服とそっくりなのだ。
「千秋様、お迎えに上がりました」
「ご苦労様、じゃあ私はこれで、まほちゃん決勝戦頑張ってね!しほちゃんまたね!」
千秋は立ち上がり二人に別れの挨拶を告げると歩き出した。その左右に付き従う軍服を着た女性たちも帰っていった。
しかし10mほど歩くとそこで止まり振り向いた。
千秋の顔は笑っていた、が
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