第九話 プラウダ戦を見ます! その4
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アも、誰もアンナに話かけなかった。
いや話しかけれなかった。
なぜなら彼女を押さえるのに必死だったからだ。
「ガァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
アンナが怒り狂っていたからだ。たとえ話しかけても今の彼女には聞こえないだろう。
ミーシャは上から覆い被さるように、レーナ、リリアは足を押さえて、ターニャは抱き着いて、アンナを押さえていた。
外ではカチューシャと西住みほが握手を交わしているが、これを今のアンナに見られてはカチューシャやノンナもろ共、西住みほを榴弾で吹き飛ばそうとするだろう。
それだけは何としても阻止しなければならない。だからこの四人は全力でアンナを押さえていた。
「コロス!ゼッタイニバラバラにシテヤルウゥゥゥゥゥウーーーーーーーーーーーッ!!!西住みほオォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーッ!!!!大洗イィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
アンナの叫びは外にまで聞こえていたがそんなもんは気にも留めず叫び続けた。
彼女がおとなしくなるのは怒りの叫びが終わり、泣き叫んで、泣き疲れて眠ってしまった時だった。
観客席で試合の全貌を見ていた千冬たちは正直驚いている人が大半だったが千冬、小百合、莉乃、真衣の四人は全く持って驚いていなかった。
千冬に至っては勝者である大洗女子に拍手を送っていた。
実の妹と親友たちが敗北したにもかかわらず。
「やっぱり負けたね。プラウダは……私の言った通り今のプラウダでは『西住みほ』を倒すには至らしめなかったね」
拍手をしながら千冬は言った。
「……栗林、お前は悔しくないのか?」
莞奈は、千冬に聞いた。実の妹が宿敵に敗れ去った。普通に考えれば悔しいや怒り、憎しみといった類いのものが湧き上がってくるはずだ。
だが千冬はいつもと変りなく穏やかな表情で宿敵たる『西住みほ』に拍手を送っていた。
「悔しくない。だってこの拍手は千雪に送っているんだ」
「千雪に……?彼女は負けたんだぞ!?」
「そう、負けた。それでいいんだ。負けたことに意味があるんだよ」
そう言うと千冬は立ち上がり莞奈を見下ろす形になりながら言った。
「これで千雪も『こっち側』に入って来れるんだ」
「こっち側……?」
莞奈が聞き返すように言うと千冬は頷いた。
「やっと千雪も『鬼神』になれる」
そう言うと千冬は歩き出した。
「帰ろう、私たちの学園艦に」
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