第86話 魔界衆との戦い(その弐)
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狙って典太を打ち込んだ。
ガキンという金属音が響き、つば競り合いの状態になった。
「十兵衛よ。やはり、俺とやり合いたかったのか?」
荒木は、嬉しそうに笑った。
「いいや、そうではござらん。あの高杉という男を先に倒しておかなければ、面倒なことになると思われたゆえ」
十兵衛は、高杉と荒木の戦いを見せて、高杉の格闘術は、自分の時代にはなかったし、見切るにも厄介。そして、自分に相性が悪いと判断したのだった。
「貴様、この荒木又衛門を愚弄するか!!」
荒木は、怒りの力で十兵衛を後方へ弾き飛ばした。そして、十兵衛を追うように間合いを詰め、手を放した斬馬刀を拾い上げ、横一文字に斬り払った。
十兵衛は、刀で受けず、まるで、背面とびのように荒木の斬撃を交わし、一気に間合いを詰めていった。
もし、荒木の斬撃を刀で受けたとしたら、間合いを詰めるタイミングは一歩遅れるだろう。いや、斬馬刀の斬撃を受けたなら、その衝撃にいくら典太といえど、たたき折られ、真っ二つになっていただろう。
それを、咄嗟の判断で斬撃を飛び越え間合いを詰める戦法をとった十兵衛がさすがと言える。
荒木は、そんな信じられない避けかたに目を大きく見開いて近づいて来る十兵衛を見つめた。
「おのれ!!十兵衛!!」
荒木は、左手に持っていた脇差とは言え、長剣なのだが、近づいて来る十兵衛の頭を狙って振り下ろした。が、それを軽くかわして脇差を抜き、荒木の心臓目がけて突き刺した。
グッという息を詰まらせるような声が十兵衛の頭上で聞こえた。
「フフフフ、この程度で我は死ぬぬぞ」
口から血を吹き出しながら荒木は言った。
「そんなことは百も承知」
前の戦いで十兵衛は知っているのだ。脇差から手を放すと十兵衛は、荒木の背後へと回った。
「その攻撃がくると思っていた」
荒木は、今度は脇差を突きに変えた。が、それも十兵衛はわかっていた感のように脇差を持った左手をはねとばし、返す刀で荒木の頭を狙って振り下ろした。
「まだ、終わらぬ」
荒木は右腕をたたむようにして、十兵衛の一撃を斬馬刀で受けた。が、腕一本で斬馬刀を振り回せる剛腕があったとしても、力が入らない状態と腕がちゃんと揃っている十兵衛の腕力では差が明らかである。
徐々に力の均衡が破れ、十兵衛の刀の刃が、荒木の頭上へと迫ってきていた。
「おのれ、おのれ」
顔を真っ赤にして荒木は押し返そうとあがらうが、どんどん迫る。その時、ふと荒木の力が緩んだを十兵衛は感じた。
荒木は十兵衛の力を左に流したのだった。と同時に十兵衛の右わき腹を狙った。
びゅっと風を斬る音が十兵衛の耳に届いた。が、十兵衛は間一髪後方へ飛んで、それを交わした。そして、一気に再度間合いを詰め走った。
それは、本能なのか野生の感なのか。だが、服
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