第4話「策略」
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て取れない。しかし彼があの女――『カミサキ』の手先である事は間違いなく、自分よりも遥かに裏の事情に通じている。会話するにしても慎重にならなければならない。
内心で警戒を更に高めつつ、少年の言葉を持つ。
「まずは簡単に自己紹介だけ。名前は黒鉄狼牙です。えーと、貴女に対する要求は多分探偵社で説明されたとは思いますが……」
「『古代機』」
「そう、それです。では、僕達がどうしてそれを欲しているのかまでは?」
絵里の答えを賞賛するように狼牙が指を鳴らし、次の問いを投げる。しかし絵里が聞いたのはその『古代機』の名と大まかな効果だけであり、彼らがどうしてそんなものを欲しているのかまでは聞いていない。自然、言葉に詰まった。
「それは……」
「なるほど、じゃあ説明はそこですね」
彼は一つ納得したように頷くと、ピンと指を立てて口を開く。その仕草は本当に見た目相応の子供のようで、本当に根っからの悪人なのかと疑問すら浮かんだ。
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「僕らがその古代機を求めるのは、とある能力を生み出すためです。簡単に言えば……『全世界の異能力者から、異能を剥奪する能力』、とでも言えば良いんでしょうか」
「な……っ!?」
絵里が思わずそんな声を上げて、ただひたすらに驚愕する。確かに全ての異能が剥奪されれば、国の気候の一部は麻痺し、彼らを抑える異能力者も消えるだろう。しかし、彼らは今『全世界の異能力者』――つまりは、自分達もその中に含んでいる。であれば、一番被害を被るのは彼らマフィアの筈だ。
「そもそも、僕らがどんな目的を掲げているのかですが……僕達の目的は、この世界から『異能』というものを抹消することです。まだ、生まれる人類が皆異能を持っているのなら良かったかもしれない……けれど、異能力は限られた極一部の人しか持たない。それは貴女も、よく分かっていますよね」
「……えぇ、勿論」
「隠し通せるなら良いでしょう。国の保護を受け、公的に働けるのならそれも良いでしょう。では、そのどちらも叶わなかった者は、どうなると思います?」
「……どちらも、叶わなかった……?」
絵里がその答えを察して青ざめる。まさか、本当に、そんな事があるものなのか。この平和な現代社会の陰で、そんな事が起きているものなのか。
絵里の答えを察したように狼牙は薄く笑みを浮かべると、沈んだ声音で絵里に言う。
「答えは、淘汰ですよ。周りの人々には受け入れられず、終わらない嫌がらせ、理不尽な差別、挙句の果てには親にも捨てられた……僕達マフィアは、そんな行き場を無くした者達の集まりです」
「……そん、な……」
であれば、先の『異能力者から異能を奪う
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