天上のポートフォリオ
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つい先刻まで曲がりなりにも支配者として敵になっていたのが全て嘘だったようにあっさりと、まるで枯草を吹き飛ばすようにフィールドの外まで放り出して。誰にも助けられることなく、落ちていった。ジェムがその様から目を逸らすよりも早く、視界から消え悲鳴も聞こえなくなった。
「ひ、ひどい……!」
自分が宙に浮いた時の感覚がフラッシュバックし、また青ざめるジェム。あそこから落ちて生きていられるわけがない。アマノが悪いことをしたのはわかっている。それでもあそこまで当然のようにしてしまうのかわからなかった。混乱の極みのようなジェムに対しダイバは平然と……いや、努めて平静を装っている風に言った。
「大丈夫……僕の考えが間違ってなければ、アマノは死なないはず」
「え……本当、に?」
「……多分。理由は説明できないけど……今は僕を信じて、一緒にパパを倒すのに協力してほしい」
ダイバと目を合わせ、彼の深緑色の瞳を見つめる。ジェムを安心させるために嘘をついているわけではないはず。そう信じる。
「わかった。後でちゃんと聞かせてくれるよね?」
「……うん」
ダイバは目を逸らした。ならこの頷きは嘘かもしれない。でもそれは逆に、考えがあることは間違いないのだろう。
「フロンティアの象徴であるバトルタワーに君臨するメガレックウザ、そしてそれを倒すお前らこそ俺様が天上に描いたポートフォリオ……期待を裏切るんじゃねえぞ?」
「ポートフォリオ……?」
「パパみたいなお金持ちがいくつかに分けてる資産の全てのこと。このバトルフロンティアやパパの力の象徴であるメガレックウザは確かにパパが持つ資産の集合体。だけど、もう一つの意味は……」
ダイバはそこで口をつぐんだ。やはり詳しいことは言いたくないらしい。でも構わない。それはもう、意地悪や拒絶ではないと知っているから。
(アマノさんの計画は止まった。そしてきっとアマノさんは死んでない、アルカさんとアマノさんはまた会えるはず! なら私はダイバ君と一緒に……勝ってみせるわ!!)
状況は激変し、新たなステージへと突入していく――
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