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フロンティアを駆け抜けて
天上のポートフォリオ
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くほどスムーズに運んでいたはずだ! それなのに、ここにきてなぜこんな……!」
「その問題は、僕達がけじめをつける……だからもう、これで終わりだ!」

 ダイバは何らかの確信を持った言葉とともに、メガメタグロスに命じる。ジェムもメガラティアスに、フロンティアの破壊という遠大な計画を試みた男への最後の一撃を与えた。

「『コメットパンチ』!」
「『竜の波動』よ!」

 銀色の渦巻く波動と、鋼の拳がダークライを直撃し、後ろのアマノごと吹き飛ばす。アマノの体が倒れ、まるでこれまで倒してきたヴァーチャルポケモンのようにダークライの体は溶けていった。アマノは魂が抜けたように項垂れる。

「終わった……私には……やはり、無理だったのか……」
「良かった、これで……終わったんだよね」

 これでひとまずフロンティアの危機は去ったのだ。自分に言い聞かせるようにジェムは呟く。失意にくれるアマノを見てジェムの胸は正直痛む。勿論アマノにはひどいことをされたしそれを許してなどいない。それでも支配したはずのエメラルドに散々馬鹿にされ、小さな子供に計画を潰され絶望する彼の姿はとても見ていて気持ちのいいものではなかった。一言で言うなら可哀想だった。でもそう思えるのは、ジェムが特別な環境に置かれて純粋に育ったからに他ならないだろう。


「いーや、まだ終わってなんかねえぜ。本当の勝負は……ここからだろ!!」


 ……そう、ジェムだからこそということに、まだ気づいていなかった。眠らされているネフィリムをいつの間にか抱きかかえ、今までよりもさらに気力に満ちた口調でエメラルドは宣言する。眠りから覚めたレックウザの体が、メガシンカの光に包まれていく。

「……ジェム、まだ気を抜かないで」

 ダイバも、注意深くエメラルドを見ながらジェムに囁く。ジェムにはその理由がわからなかった。

「忘れちまったのか? お前達がこの塔を昇ってきたのはあくまでシンボルを獲得するためだろ。だったら俺様の切り札を倒さないとバトルタワーを攻略したなんて言えねえよな! このバトルフロンティアの支配者はあくまでこの俺、ホウエンの空を切り裂くエメラルド・シュルテンなんだからよ!!」

 レックウザの体がさらに巨大化し、顎が髭というには鋭すぎるほどの突起が出来が金のラインが体のあちこちに走る。メガレックウザへと姿を変えた相棒を背に、エメラルドが怪物のような、人間の枠を超えてしまった笑顔を浮かべる。発生した乱気流がジェムやダイバ、アマノの体を吹き付けた。ジェムとダイバはお互いを支え合っているが、もはやすべてのよりどころを無くしたアマノに暴風を防ぐ術はなく――

「う……うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁ――――――……!!」

 あっさりと。
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