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フロンティアを駆け抜けて
天上のポートフォリオ
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風に吹かれた花びらのように吹き飛んだ。最初のラティアスと同じように足場のないところまで、正真正銘の空中に浮く。


「あっ――――――」


 悲鳴を上げることも出来なかった。観覧車の一番上から放り出されたような自分を支えるものが何もない恐怖。落下し始める身体、フロンティア全体が見渡せてしまうほどの高さから落ちるジェムの脳内は、アルカの毒を受けた時よりもずっと鮮明に【死】のイメージを焼き付ける。

「い、や――」
「メタグロスッ!!」
「グオオオオオオオオオッ!!」

 メガラティアスは一番最後に吹き飛ばされて助けられない。窮地を救ったのはメガメタグロスの拳だった。残り三つの腕でがむしゃらにカラマネロとデオキシスを殴りながら、残りの一本を『念力』と合わせて落下するジェムを下から支える。そのまま腕に乗せてフィールドの中まで戻し、ダイバのすぐ隣まで移動させる。ダイバがジェムを受け止め、力強く声をかけた。

「……ジェム、落ち着いて!」
「……ダイバ、君」

 ジェムの歯の根はあっていなかった。体もまるで雪山に遭難したかのように震え、顔は真っ蒼になっている。当然だ。まだ幼い子供が、高所からの落下という明確な死を突き付けられたのだから。同じ体験をさせられたらダイバだって平静ではいられないだろう。

「パパ! なんでここまで……アマノだってジェムを殺す気はないんだろ! チャンピオンの娘をパパが死なせたらどうなるかなんて、パパが一番よくわかってるはず!」

 ジェムを落ち着かせようと強く抱きしめながらダイバは叫ぶ。エメラルドがチャンピオンと友人関係だからとかそんなことではない。バトルフロンティアという施設内でのバトルである以上、オーナーであるエメラルドには参加者の命を守る義務があるのだ。ましてやこの地方のチャンピオンの娘を自分で殺してしまったら、施設としての信頼を失うどころの話では済まないはずなのに。やはりエメラルドの表情は不敵な笑顔のままだ。むしろアマノの方が焦っている始末だ。

「そ……そうだ、倒せとは言ったが殺せとまでは言ってない! ここで娘を殺してしまえば、チャンピオンを止める手立てがなくなってしまう!」
「へっ、心配いらねーよ。なんてったってそいつとコンビを組んでるのは俺の息子なんだからな! お前なら助ける、お前なら俺とこの野郎とコンビくらいなら倒せるって信じてるからこそ俺様もこの状況で本気が出せるってわけだ」

 親指を立てた拳を突き出して、何の迷いもなく言い切る。その言葉はどこまでも自分と、そして息子であるダイバへの圧倒的な自信に満ちていた。

「ち……バトル中は勝手な真似をするなと命じたはずだ! とにかく『相手を殺しかねんことはするな』!」
「ったく、これだから凡人
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