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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十七話 状況は「前門の虎後門の狼」というわけですか。
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に集中していて、二人に注意を払う人間はいなかった。
「こんな時、私たちがあの席に座れるほど地位と権力があったならば、事態は違っていたと思う?」
「さぁ・・・・。」
アルフレートは即答できなかった。何しろ未だ自分は大尉、カロリーネ皇女殿下は中尉という身分であるし、その地位程度の精神的な骨格しか身に着けていないのだから。
「私は駄目だと思うのよね。ああいう席に座れる人はそれなりのタフさと判断力がないと駄目だと思うの。あ、別にあんたのことをそんな風に評価しているんじゃないわよ、私の方よ。」
「わかっていますよ。私だってそうですから。」
アルフレートはかすかに笑いながら言った。声を上げて笑いたかったが、今の状況ではそれもできない。二人は自然と口を閉ざし、自分たちの上官に視線を向ける。
「少なくともウィトゲンシュティン中将閣下は、私より上だと思うわ。事態をかえられるかどうかはわからないけれど、変えようと精一杯努力なさっているから。」
流されまいと頑張っている私よりもよっぽどね、とカロリーネ皇女殿下はつぶやいた。それを聞きながらアルフレートは思った。近頃カロリーネ皇女殿下の口からは弱気な言葉だけが出てくるようだ、と。あの帝国にいた頃の活発で自信に満ち溢れていた皇女殿下はどこに行ってしまったのだと。むろん、あの頃のように戻ってしまっても困るのであるが、だからといって今のままではマイナスがあまりにも強い気がする。
 いけないぞ、アルフレート、と彼は自分にカツを入れた。今は会議中ではないか。カロリーネ皇女殿下の事は今考えることではない。
「あなたの戦術を忌憚なく言ってもらって結構よ。」
ウィトゲンシュティン中将が静かに言うのを、転生者たちはただ聞いているほかなかった。今この場ではどうすることもできない己の無力さを呪いながら。



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