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第八十七話 状況は「前門の虎後門の狼」というわけですか。
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ィン中将は内心の複雑な感情を押し殺そうと努力しながら言った。彼女にしてみても、何らの成果を上げずに撤退してしまえば、それこそ司令官の更迭という事態になりかねないことをよく知っている。
「ヤン・ウェンリー少将の意見はどうですか?」
と、ティファニーが水を向けた。
「撤退すべきでしょう。」
ヤン・ウェンリーの意見は明白だった。
「エル・ファシルの英雄と言われたあなたでさえも、敵を前にして尻込みするのか。」
クレベール中将の揶揄にヤンはかすかに眉を上げたが、
「ええ、そうです。勝てない戦を前にして勝てると言い切るほど、私は自信過剰ではありませんから。」
「では、ヤン少将、どのようにして撤退をなさるおつもりですか?」
むっとするクレベール中将をしり目に、ウィトゲンシュティン中将はヤンに尋ねた。
「要するに、最高評議会の顔を立ててやればよいのでしょう?つまりはアーレ・ハイネセンの主砲が帝国軍を撃破し、撤退するにしても一矢報いた実績を作り上げればそれでいいはずです。ま、もっともお偉方の中にはそれでも満足できない方々が大勢いるかもしれませんが。」
シ〜ン、と一同が沈黙したのも無理からぬ話だった。いかにアーレ・ハイネセンがその主砲を駆使して帝国軍を撃滅したとしても、最高評議会、そして在野が望んでいるのは、まずはイゼルローン要塞の奪取、最低でもイゼルローン要塞を破壊して、アーレ・ハイネセンがその位置にとってかわるというものなのだから。
「責任は私がとるわ。」
静まり返った会議室に不意に女性の声が響いた。さほど音量は大きくなかったにもかかわらず、誰しもがその発言者の方を向いていた。ウィトゲンシュティン中将がそう言ったことに、隅に立っていたアルフレートは驚いていた。第十三艦隊を守る、家を守る、そう言い続けてきた司令官が、どうしてこういう発言をすることになったのか。
「違うわよ、アルフレート。」
カロリーネ皇女殿下はアルフレートの袖をそっと引っ張ってささやいた。
「ウィトゲンシュティン中将閣下はそう言わざるを得ない状況に追い込まれたのよ。」
「前門の虎後門の狼、ですか。」
アルフレートは苦々しい思いを込めてそう言った。最高評議会がせめて前線の状況をよく理解し、積極的に後退命令を出してくれさえすれば、と願わないではなかった。だが、その最高評議会の背後にある「支持率」という絶対唯一の指針が「後退を禁じる」という指標を掲げてしまえば、それは不可能になる。
「私たちの前世でもそうでしたね。戦争を仕掛けるのはむしろ簡単だ、タイミングよく撤退をすることこそ難しい、そう言ったことをニュースなどでよく聞きました。」
「同感。今の私たちの状況もまさにそれよ。こんな時・・・・。」
カロリーネ皇女殿下は不意にと息を吐いた。今皆の眼はすべてウィトゲンシュティン中将
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