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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十七話 状況は「前門の虎後門の狼」というわけですか。
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リッテンハイム侯爵を蹴落として、政敵はほぼいなくなった。残存する中ではリヒテンラーデ侯爵が強いて言えばそうであると言えばそうなのだが、それとても皇帝陛下の忠臣であり、今のフリードリヒ4世が崩御すればすぐに引退という事になるだろうと思っていた。
ブラウンシュヴァイク公爵にしてみれば、これ以上の行動は無用な波紋を広げ、かえって自家の勢力をそぎ落としていくことになりはしないかと恐れているのだった。それに、今回のフレーゲルらが持ち込んできた案は大貴族の長にふさわしくないものではないか、と思っている。
「あの孺子さえ蹴落とせば、我ら一門の安泰と繁栄は恒久的なものとなるのですぞ、叔父上。」
そう言ってフレーゲル男爵は何度もブラウンシュヴァイク公爵の了承を求めたため、やむなく承知をしたのだが、彼自身胸の奥に複雑な思いを抱いていないわけではなかった。無位無官のライヒスリッターの息子風情が、と思う一方で、あの孺子の天才的なセンスを認めないわけにはいかなかったのである。
(あの孺子を殺すべきではないのではないか?)
そう思っていることに気が付いたブラウンシュヴァイク公爵は自分でも愕然としていた。生意気な金髪の孺子が宮廷に上がり、出世の階段を駆け上がっていったことについて、ブラウンシュヴァイク公爵自身も他の貴族たち同様に軽蔑と憎悪の眼で見ていたからだ。
(それともこれが大貴族の長としての矜持、というものか。)
ひそかに自嘲しながら、ブラウンシュヴァイク公爵はワインをあおった。そうしなければ、胸にたまった様々な感情がその口からあふれ出てしまいそうだったからである。
帝国歴487年9月20日には、ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥の遠征軍の先鋒は、もうイゼルローン回廊に差し掛かっていた。
「前線のエリーセル総司令より、ビッテンフェルト提督を中継し、回廊内部の詳細なデータが送られてきました。」
副官のリュッケ大尉がラインハルトに報告した。ラインハルトが促すと、ブリュンヒルトのディスプレイには詳細な敵味方の配置図が映し出された。
「これは・・・・。」
思わずイルーナがもらしたのももっともだった。あまりにも二つの要塞が接近しすぎている。敵の超長距離砲を封じるためとはいえ、これでは一歩間違えれば要塞同士が衝突するか、周囲の艦隊を巻き込んで取り返しのつかない損害を与えかねない事態だった。
幕僚たちも、口々にざわめく。
「混戦状態ではないか。」
「これでは艦隊の展開ができない。」
「いや、展開しようにも妨害電波が強すぎて、敵味方の識別すらもできないのではないか。」
「いっそ要塞に任せて艦隊を後方待機させるか。」
「それはあまりにも消極的では――。」
不意に一斉に一同は口をつぐんだ。ラインハルトが立ち上がったからである。彼
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