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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十七話 状況は「前門の虎後門の狼」というわけですか。
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ジークフリード・キルヒアイス少将、イルーナ艦隊の運用はレイン・フェリル少将が当たることになっていた。

総兵力は10万余隻。兵員1200万人。イゼルローン要塞に向かわせているフィオーナ以下の5万隻を除けば、ラインハルト麾下の動員力としてはほぼ限度いっぱいであった。
「自由惑星同盟とやらを称する反徒共、その彼奴等の拠り所とする新要塞とやらを墓石に、イゼルローン回廊を彼奴等の墓標にしてやるのだ。」
という彼の意志を歓呼の声で迎えた将兵らは続々帝都オーディンを進発していった。閲兵をフリードリヒ4世の傍らで行っていたラインハルトも途中で皇帝陛下とその取まきに一礼し、短く遠征に赴く旨を改めて言上すると、閲兵台を降りて自らもブリュンヒルトの艦上の人となった。
 ベルトラム大佐、ザイデル曹長、デューリング少佐、シャミッソー少佐らかつてのハーメルン・ツヴァイの面々が出迎える。
「準備、完了しております。」
ベルトラム大佐が言った。ん、とうなずきを返したラインハルトは、ここまで付き従ってくれて来た面々を見た。
「元帥閣下、皆やる気ですぜ。今度こそあの同盟とかいう反乱軍の奴らに手痛いパンチをくれてやるんでしょう?・・・あなたの理想を込めたパンチをね。」
ザイデル曹長の言葉にラインハルトがうなずく。
「むろんだ。当然血は流れるが、その先にあるものを私はつかみ取りに行かねばならぬのだ。」
自分は歩みを止めるわけにはいかないのだ、とラインハルトは思う。ここで仮に、歩みを止めてしまっては、自分は死んだということに等しい。退嬰と怠惰こそ、ラインハルトには最もふさわしくないものだと周囲は思っており、彼自身も常に先駆者となってかけ続けたいという思いでいたのである。
「全艦隊、発進せよ。」
ラインハルトは麾下全軍に指令したこの時が、イゼルローン回廊にて待ち構えているであろう新たなる戦いへの第一歩だった。彼はそれを自らの意志で踏みだしたのである。


ブラウンシュヴァイク公爵邸――。
「いよいよ、あの孺子が征きましたな。」
フレーゲル男爵がうっすらと笑いを浮かべてワイングラスをもてあそぶ。その傍らにはベルンシュタイン中将が無表情で佇立し、向かい合っているブラウンシュヴァイク公爵の表情を失礼にならない程度に見守っていた。
「しかし成功するだろうか?何しろあの者は戦争の天才というではないか。」
二人を取り囲むようにして列席していた一門の者の中から声が上がる。
「あの孺子の才覚次第だろう。」
ブラウンシュヴァイク公爵は無造作にそう言った。大貴族の長として、今回ベルンシュタイン中将、そしてフレーゲル男爵、軍務尚書らが構築した第二次対ラインハルト包囲網については彼は可もなく不可もなしという態度だった。どちらかと言えば、苦々しい思いさえ込めて見守っていたのである。
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