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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十七話 状況は「前門の虎後門の狼」というわけですか。
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うこと、もう一つ目は増援艦隊の到着まで守勢に転じることです。ですが、一つ目の可能性は低いでしょう。」
「理由は?」
ウィトゲンシュティン中将の目が細まる。それを見たカロリーネ皇女殿下もアルフレートも士官学校時代の口述試験の試験官を思い出していた。
「増援艦隊を率いるのが他ならぬラインハルトだからです。」
ここまで言ってしまってから、アルフレートは「しまった!」というように顔を硬くさせた。だが、言ってしまったものは仕方がない。傍らであきれ顔をしているカロリーネ皇女殿下をしり目に、彼は不思議そうな顔をしているウィトゲンシュティン中将に向かって説明を続けた。
「今回の増援はミュッケンベルガー元帥自らが出るには軽すぎ、かといって大将レベルでの増援では意味を成しません。おそらく、副司令長官であるローエングラム伯が来援するとみるのが妥当でしょう。ラインハルト・フォン・ローエングラム伯は若き元帥ですが、その指揮ぶりは常に陣頭に立って戦うものであると聞いています。ですから、部下たちが手柄を取ることを彼は良しとしないでしょう。彼自身の手でこの要塞を仕留めたいと思うはず。そうであれば、その意を汲んだ部下たちが積極攻勢に打って出ることはないと思います。」
理由付けは強引だったが、結論としては事実を言ったのだとアルフレートは思っている。
「そこで、まず、敵の大攻勢が近いことを同盟軍上層部に報告して退却の許可及び回廊出口付近に主力艦隊の出撃を要請します。その間私たちは敵の攻勢を支えなくてはなりませんが、先にも言った通り、それほど脅威にはならないでしょう。」
ウィトゲンシュティン中将もカロリーネ皇女殿下もアルフレートの話を驚きをあらわにしながら聞いている。それを感じ取った時、アルフレートはある一つの光景を胸の内に思い出していた。

エル・ファシル――。

そこで自分は取り返しのつかない失敗をした。ヤン・ウェンリーの術策の裏をかくと息巻いて、数えきれないほどの兵士たちを死なせたのである。それ以来作戦を立案することなどできなかったし、トラウマがフラッシュバックして頭を抱えたことも何度もあった。士官学校ではそのせいで赤点すれすれにまで落ち込んだこともある。そんな彼を救ってくれたのはある一人の人物なのだが、そのおかげでアルフレートは自分を取り戻すことができつつあった。
彼は誓っていた。もう二度と、軽躁な真似はしない。作戦を立案する時は、自分一人の功名の為ではなく全軍を救うため、ただそのために立てるのだと。その思いをかみしめながらアルフレートは説明を続けた。
「・・・そして、敵の攻勢が止まり、増援艦隊が到着したその瞬間を見計らって、要塞を全速後退させます。タイミングが重要です。帝国軍が追尾して来れば、回廊出口付近で待ち伏せている主力艦隊と其角の計を取ってこれを迎え撃ち
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