出立のリターン
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……うちの場合は星読みの効果も上げられるだろう。それも暴走せずに制御できるようにすら……。でも、やっぱりそっちには使いたくない。暴走の危険に対する恐怖は、うちの心に刻まれたトラウマやからな……。
「来たっ! 来た来た来た来た来たぁー!! 行くでっ! 行くで行くで行くで行くで行くでぇ、皆ぁ!!」
なんでパワーを溜めたサバタみたいなことを言ってるのかはさておき、並行世界を超えられる転移魔法の準備が整った。シャロンもリタも固唾を飲んで見守る中、うちは初めてアニマの器を使った魔法を発動する!
「発動、時空転移! 向かう先は、次元世界や!! 行っくでぇー!!」
すると師匠の六芒星転移魔法陣に匹敵する光量が発生し、うちらの身体を包み込んだ。そして次の瞬間、アースガルズの太陽樹のふもとにいたうちらの姿は無くなっていた……。
「わわっ! だ、大丈夫なんですかコレ!? すごく不安定なんですけど!」
「こ、この浮遊感は乗り物以上に……き、気持ち悪い……うっぷ」
「うちも並行世界に渡るのなんて初めてなんやから、こんな風になっとるなんて知らんかったんや!」
今、うちらは虹色のぐんにょりとした何とも言えない空間で、足元のおぼつかない浮いた姿勢のまま、どこか奥の方に移動していた。どっかの青い猫型ロボットのタイムマシン的な場所に似ていると言えばイメージはわかりやすいと思うんやけど、正直これは何度もやりたいとは思わんな。だって……、
「ダメ……も、もうげんかい……」
「あ! こんな所で吐いたらダメですよ、シャロン!? どこかの知らない世界にあなたの吐しゃ物が飛び散ることになりますよ!」
「でもシャロンの気持ちはようわかるで……。なんせうちも、正直キツイわ……」
色彩のせいで視覚的にもドギツイし、浮遊感も狙ったような気持ち悪さやし、明らかに酔って当然の場所になっとる。いきなり最悪の状況になったシャロンにはホント悪かったと切に思う。
あまりの惨状に、どれだけこの状況を我慢すればええのかなぁ、と遠い目をした。その直後、グンッと何かに引っ張られるような感覚がうちらを襲った。
「なっ!? か、体が吸い寄せられる―――!?」
「ザジさま!? わたしも別の方向に引っ張られ……きゃぁああああ!!!」
「うぅ……意識が……持たない……」
「リタ! シャロン! あ、アカン! にゃぁあああああ!!」
そうしてうちらはそれぞれこの空間の別方向に飛ばされ、手を掴むことも出来ず離れ離れになってしまった。まさかの事態にうちは何の心構えも無しに時空転移を使ってしまったことに凄い罪悪感を抱きながらも、これからどうなるのかといった不安に苛まれた。
吸い寄せられる勢いのまま、うちの身体はこの空間を漂
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