出立のリターン
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たるから、旅の心配はせえへんでもええ。で、どうする? もう行くんか?」
「う〜ん、そう……ですね。ここでもうしばらくのんびりするのも良いですけど、先延ばしにしたら私が次元世界に行く気力を無くしそうで……」
「あんたって相当次元世界が苦手なんやねぇ……。だったら決意が鈍らんうちに送っといてやるわ」
私の言葉に若干優し気……というか呆れ顔?な表情をしたクレスは、軽く私の頭をポンポンと叩いた。少しは大きくなったと思ってたけど、この人にとって私はザジと同じようにただの小娘なんだろう。
そういえばふと疑問に思ったんだけど、クレスは次元世界に帰ろうとは思わないのかな? いや、帰りたがらない私が言うのも変だが、あっちに知り合いとかはいないのかな?
まぁ、こっちに来てかなり長いらしいし、次元世界に未練とかはもう無いのだろう。私は……今の所は世紀末世界の方が良いと思ってる。未来での私がどっちの世界に居住を構えるかは、これから行う旅次第か。
庭に出ると、クレスが私達の足元に全属性の紋章が浮かぶ六芒星の魔法陣を展開、転移魔法の詠唱を始めた。ザジも一応転移魔法は使えるが基本的に短距離で、長距離を移動したことは今まで一度も見たことが無かった。恐らく長距離を転移したいなら、この六芒星の魔法陣を作るぐらいの魔力操作が必要なのだろう。この時点でクレスの魔法の腕がザジのそれを上回っているのが誰からも見て取れた。
「これが伝説の魔女と呼ばれた方の魔法ですか……! なんだかドキドキしてきました」
「癪やけど、やっぱり師匠は魔力の練り上げも精密さも凄い……うちもこんなんじゃダメやな。でも、次帰って来た時こそ、師匠を超えたるで!」
「(この魔法陣……世紀末世界のだけじゃなくて、次元世界の魔法……特にベルカ式に近いものを感じる。もしかしてクレスさんは二つの世界の魔法を混ぜ合わせた、新系統の魔法体系を編み出したのかもしれない)」
それ故に途轍もない魔力制御、それも浮遊魔法だけでトランプの五段タワーを作るぐらいの精度が必要だ。世紀末世界と次元世界の全ての人間の中でも、クレスは間違いなくレベルが桁違いで高い。彼女ほどの領域にたどり着くには、それこそ数十年単位の相当な修練を積む必要があるだろう。こんな人が一緒にいてもキング・オブ・イモータルには一人では勝てなかったとか、サバタとジャンゴの父リンゴの戦いはどれだけ過酷だったのか想像すらできないや……。
うん……ザジさん、どう考えてもこの人に勝つのは無理だ。せめて直撃を一発だけ当てるとか、その辺に妥協しといた方が良いよ……。
「なんでシャロンから哀れむような目で見られとるのか知らんけど、図らずもうちの生まれ故郷に行くことになるなんてなぁ……。……楽しみでもあり、不安でもあるわ」
「太陽樹
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