出立のリターン
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なれるよう、私なりに頑張ってみるよ」
それにしても……闇の書の被害を受けた私が、冥府の炎王イクスヴェリアを身に宿す。両方とも古代ベルカ関連だし、ある意味皮肉とも言えるな、この関係。
ドォーン!!
「な、なに!? さっきの隔壁の近くで何か爆発でもしたの!?」
『マリアージュの自爆機能でしょう。今回のようにマリアージュは必要に応じて自ら自爆する時もありますが、倒されたり行動不能になったりしても燃焼液になって爆発します』
「サバタさんの自爆分身並みに厄介な性質だね! あ〜もう早くここから出たいよ……」
『では、カプセルの傍にある端末に触れてください。一つだけ、外に出る方法があります』
イクスに言われるまま、私は端末に手を触れる。それから表示されたコンソール画面をイクスの指示で操作していくと、なぜか画面が真っ赤になって、同時に謎のカウントダウンが始まった。
『艦の自爆システムを作動させました。今の内に脱出しましょう』
「いやいやいや!? なんで今、自爆システムを作動させたの!?」
『私達がこのまま逃げてしまえば、マリアージュが外に出てしまいます。なので艦ごとあれらを消し飛ばす必要がありました』
「り、理屈はわかるけど……私達、まだ中にいるのに……」
『大丈夫です、ちゃんと脱出法も用意してあります』
イクスがそう言った直後、この部屋の奥にある扉が開き、そこそこ大きな球状の金属物体がせり出してきた。
『一人乗りの脱出ポッドです。あれに乗れば外へ射出されます』
「そういうこと……いつの日か、イクスが目覚めた時のために用意されていたんだ」
最早一刻の猶予も無いため、急いで私はその脱出ポッドに乗り込む。中に入ってスイッチを押すと自動的にポッドの入り口が閉まり、窓ガラスの向こうで射出装置が動き出したのが見えた。
「抹殺せよ、抹殺せよ」
マズい、マリアージュがもう部屋に入って来てしまった。彼女達は脱出ポッドが稼働していることに気付くと、一目散にこちらへ向かってきた。ポッドの中にいる以上、私達には手の出しようがなく、祈ることしかできなかった。
早く……!
早く……!!
「抹殺せよ!」
――――ドンッ!!
「……………………………………………。ま、間に……合った?」
マリアージュの戦刀が窓ガラスに刺さる際どい所で、やっと脱出ポッドが弾丸のように射出された。コンマ一秒でも遅かったら、マリアージュによってポッドが壊されていたことは間違いなかっただろう。
『いや〜、私も冷や冷やしました。これは昔、私を暗殺すべく敵が地平線の彼方から超長距離狙撃をしてきた時に匹敵するほどの危機感を抱きましたよ』
「そんな危機は味わいたくなか
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