出立のリターン
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ステムが半稼働状態になってしまい、封印されたマリアージュも再起動を果たしてしまいました。幸か不幸か、私の方も半分目覚めたことで、コアシステムの稼働に気付けました。なので肉体的には眠りながらも装置と繋がった状態の私が遠隔操作で艦の機能を使い、マリアージュを障壁で隔離していたのですが……外に出ようとしていたマリアージュから度重なる攻撃を受けたことで、ついに艦の耐久限界を超えてしまったのです」
ひとしきり説明して改めて落ち込むイクスヴェリアだが、結局の所、マリアージュが外に溢れずに済んだのは彼女のおかげであった訳だ。……やっぱり彼女が必要以上に責任を感じることは無い気がする。
「とりあえず、今は二人で助かることを考えよう」
「二人で? 私も……ですか?」
「うん。君が古代ベルカの人間でも、こんな所に放っていく気にはなれない」
「でも私は、この世に生きていては……。確かに私は国の過ちを防ごうとしましたが、しかし数えきれない多くの人を殺してきたのもまた事実です。そんな私が、のうのうと生きていて良い訳が……」
「……だから自ら犠牲になると? 死は贖罪になんかならない……ただの逃避だ。生きて……真実を未来に伝えていくことこそが、君にとっての真の贖罪になると思う。何が正しくて、何が間違っていたのか、それを後世に伝えて、同じ過ちが二度と繰り返されないようにすることが、生き残った者の使命なんだ」
ほとんどは前にサバタさんが私に言ったことの受け売りだが、これは今も私の心を支えている。被害者は被害者で、加害者は加害者で伝えていかなければならないことがある。そう、この言葉はここにはいないが、闇の書の最後の主と、管制人格リインフォースにも向けられていた。私がしたのは、この意味をイクスヴェリアにも伝えただけだ。
「真の贖罪……生き残った者の使命……。あぁ……言われてみればその通りです。それに使命から逃げてしまう者に、王の資格はありませんね。ありがとう、あなたの言葉で目が覚めました。私は……もう一度生きてみます」
「そう……。で、それはそれとして……君はマリアージュを倒せる?」
「今は無理ですね……一応、私もある程度の戦闘技術は体得していますが、一体だけならまだしも、二体以上となると確実に負けます。アレの指揮官だった者としては、不甲斐ない話ですけどね。そもそもマリアージュ制御機能もそうですが、かつての戦闘の名残で体の内部に異常が見られるため、今の私はほとんど自力で動くことができないんです」
「異常?」
「はい。正直に申しますと、このまま異常を放置していれば、遠からず私は深い眠りにつくでしょう。この異常を治すには私の時代の機械やプログラムに関わる知識が必要なので、今の時代にそれが残っているとは……」
「古代ベルカの
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