出立のリターン
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を済ませたら、出来るだけさっさと帰ろう。うん、絶対その方が良い。……なんてことを思っていた次の瞬間、パネルが真っ赤な色に染まり、何かの文字が浮かび上がった。
『Emergency! Emergency!』
「エマージェンシー? 一体何が……?」
突然の緊急事態に警戒した直後、何かが私の背後に現れた気配がした。反射的に前転すると、私の頭の数ミリ上を刃らしきものが通り過ぎた。背筋がゾッとして鳥肌が立つ中、慌てて姿勢を立て直した私はさっきまで私が立っていた所を見つめる。
「……イクスを知る者は……抹殺せよ……」
そこには身長175センチぐらいの……両腕に戦刀を生やした女性がいた。彼女は無機質な目で私を見つめ、再び腕の刃を振りかぶる。咄嗟にバク転で回避しながら階段を飛ばしてブリッジの下の方にまで降りた私は、そのまま一目散に走って逃げた。
「な、何なのアレ……!? まるで殺戮兵器みたいな……まさか、アレがマリアージュ!?」
走りながら後ろを振り向くと、さっきの女性が無表情のまま追いかけてきていた。……しかも、
「抹殺せよ」
「抹殺せよ、抹殺せよ」
「抹殺せよ、抹殺せよ、抹殺せよ」
「な、なんかたくさん増えてる!?」
逃げている内に同じ姿をした女性が四方八方からわらわらと湧いてきて、追跡に加わってきていた。はっきり言わせてもらうが、あんなヤバい大群と戦えば、私の実力ではせいぜい3分しか持ち堪えられないし、ましてや倒して勝つ見込みはまず見いだせなかった。つまり戦うなんて以ての外、逃げなければ生き残れないって話だ。
「って言っても、外に出るにはどこに向かえばいいの……!?」
慌てて逃げてきたせいで来た道とは別の道を進んでしまったし、船である以上、空間が限定されているからいつまでも逃げられはしない。もう、どうすれば……!
『Aエリア第6ゲート閉鎖』
マリアージュが刃の先端を向けて突貫してきた瞬間、館内放送が聞こえて私とマリアージュの間に隔壁が降りてきた。勢い余ってマリアージュが壁に衝突する音が聞こえたが、しばらくしたら金属質の音が連続で響いてくるようになった。どうやら戦刀で隔壁に斬りつけているようだ。
「た、助かったけど、あまりぼやぼやしていられないってことか……。それよりこの障壁を降ろしたのは多分……」
私はまだ先に続く通路を見渡し、行くしかないと結論付けた。早足で通路の先へ向かうと、一つの部屋にたどり着いた。辺りには長い年月使われていないのか埃を被ったたくさんの機材が並び、中心には部屋中の機械とコードで繋がったカプセルがあり、そのカプセルの中には培養液に浸かった赤褐色に近い髪色の……スミレより年下に見える少女が眠っていたが……、
『とうとう、私を目覚めさせてし
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