出立のリターン
[11/21]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が竜に指示らしきものを送り、竜はそれに応えるかのように声を上げた後、落下中のうちをその背中に乗せて助けてくれた。うちを乗せた竜はそのまま地上にゆっくりと降り立ち、女の子の前にかしづくように姿勢を低くした。それはまるで、騎士が主に忠誠を誓う儀式のような雰囲気やった。
とりあえず竜の背中から降りたうちは……脱力感のあまり地面に寝転がって、大の字になって深く息を吐いた。
「あぁ〜、死ぬかと思ったぁ〜! いやホント、今回はマジでアカンかと思ったわ〜……」
とにかく、当分は高い所は勘弁やね。今回みたいに助けが入るとは限らんし……。ただ、リタとシャロンも今頃うちと同じように高い所に投げ出されてるかもしれへんけど、今のうちには誰かに助けられてることを祈るほかあらへんな……。
「あ、あのぉ〜、大丈夫ですかぁ〜?」
「おかげさんで傷一つ無いで。とにかく助かったわ、おおきにな」
「はぁ〜、無事で良かったです。もし失敗して怪我しちゃったらと思ったら、怖くなってしまって……」
「うちが怪我したところで、別にあんたのせいでもあらへんやろ。落下してたのはうちのせいなんやし。むしろうちの方こそ、さっきぶつかってあんたに怪我でもさせてたらと思ったら、申し訳なくて仕方あらへんわ」
「なんだか同じようなこと考えてたんですね、わたし達」
「せやな。……ところで、ここは次元世界なんか?」
「え? あ、はい。ここは第6管理世界アルザスですけど……お姉さんは一体どこから来たんですか?」
「世紀末世界……っちゅうてもわからへんか。まぁ、並行世界から転移魔法で飛んで来たんよ。ま、迂闊にもそれをしくじってあんな高い所に放り出されてしもたんやけどね」
「並行世界……ですか? わたしにはよくわかりませんが、転移の失敗は災難でしたね。……あの、お姉さんはこれからの予定とか、ありますか?」
「ん〜とりあえず、離れ離れになった友達を探したいなぁ。ここが次元世界ならどこか別の世界に落ちてる可能性もあるから、こんなことになった以上、責任をもって探さないとあかんし。……あ、そういやうち、こっちの世界に知り合いがほとんどおらへんわ。これじゃあ次元世界を渡るのはちょっと厳しいかもしれへんなぁ……」
「そ、そうですか。じゃあ良ければですが、一度わたし達の集落に来ませんか? 次元世界を渡りたいなら街の方に行く必要がありますけど、わたしは街まで行ったことが無いので……だから集落の大人の人に聞いてから行った方が安全だと思います」
「確かに見知らぬ世界で迷ったら目も当てられへんもんな。……わかった、あんたの村まで案内してくれへんか?」
「わかりました。……あ、そういえばお姉さんの名前を聞いていませんでしたね。わたしはキャロ、キャロ・ル・ルシエ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ