出立のリターン
[2/21]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いたイメージが固定観念になってもうて、気付けばそれが全体に適用されるようになったみたいな……)」
「(ですね。サバタさまや向こうにいるマテリアルズという人達のように時間をかけて、誠意をもって接すればシャロンさまは心を開いてくれます。わたし達にも心を開いてくれたのは、サバタさま達が彼女の先入観などを解してくれていたからでしょう)」
「(逆に言えばサバタが何もしとらんかったら、シャロンはうちらにすら心を閉ざしていたかもしれへんのか。相変わらずあいつの影響力がデカいというのはさておき、普通にシャロンの心を開きたいなら、あまり押し付けるようなことはやめて、時間をかけて接した方がええってことやね)」
「(はい。まぁ……サン・ミゲルから半ば強引に連れ出した身として、わたしは少し耳が痛いですけど)」
私に内緒で何かボソボソ話しているザジとリタに思う所はあるけど、とりあえず気にしないことにした私はザジの記憶を取り戻すことに話を戻し、どうやれば記憶が戻るのかをクレスに尋ねた。
「そんなん簡単や。それは―――」
「ショック療法ですね! 任せてください!」
「ヒィッ!? そ、そんなんされたら昔のジャンゴみたく死にかけるわ!」
……何というか、男の人って大変なんだなぁ。リタのショック療法って、記憶を取り戻すどころか、むしろ生命ごとぶっ飛びそう……。それに瀕死とはいえ一応耐えた辺り、ジャンゴの耐久力の凄さがよくわかる気がした。
「心配しなくても大丈夫です、今度は失敗しませんから!」
「堪忍してや!? ちょ、アカンから! マジでアカンから指鳴らしながら近づいてこんといてぇ!?」
「おい小娘ども、人が話しとる間はちゃんと最後まで聞けや。……しばくで?」
「「すみませんでした!!」」
クレスから一瞬で全身に怖気が走るほどの冷気が発せられ、慌てて席に戻る二人。正直、私も今のやり取りだけで冷や汗が大量に背中を伝っていた……。
「いい加減、話進めるで。まず、記憶を取り戻したいなら、その記憶に関わる何かを見て、刺激を与える必要がある。その何かに込められた想いが強ければ強い程、刺激は強くなるもんや」
「記憶に関わる何か……?」
「ま、当てずっぽうで探すのは時間が無駄やし、星読みである程度目星は付けといた。そこはアースガルズと言って、数年前の大規模な吸血変異で枯れてもうた太陽樹が存在しとる。そして……あんたの生まれ故郷や」
「うちの生まれ故郷……? アースガルズ…………ッ」
「どうしました?」
「何でもない、少し頭の中がチクッとしただけや」
「……つまり、私達はこれからアースガルズに向かうのですか?」
「せや。アースガルズまではうちが転移魔法でサッと送っ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ