出立のリターン
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先代ひまわり娘の屋敷に泊まった翌日、朝食を頂いた私達にクレスが早速昨日の話を切り出した。
「ザジ、あんたのアニマの器やけど、どうやらエレンのと違って休眠しとる。起動しておいて全く使わなかったことで、自動的にスリープ状態に移行したようやね」
「謎の金属板も省エネするんか……ま、休眠しとるなら起こせばええだけの話や。それで、どうすれば再起動してくれるん?」
「あんたがもう一度アニマの器の存在を感じ取れば一発なんやけど、今まで気付かんかった力に今更気付けなんて、まず無理な話やろ。っちゅうわけで、あんたの記憶を回復させるのが一番手っ取り早いという結論が出たわ」
「うちの記憶を……回復?」
要するに、ザジの記憶喪失を治してアニマの器を再び使えるようにするらしい。変な試練や手続きを行う必要が無いのは良いと思うけど、私は不安を抱いていた。
失われていた記憶を取り戻す、これだけ聞けば良いことのように聞こえるが、これまで忘れていたものが今になって戻ってくるのは、ある種の恐怖がある。もし……全く違う自分がそこにいたら、今ある自分が壊れてしまう可能性だってある。いや、壊れるのは大袈裟だとしても何らかの影響は受ける、少なからず性格などが変わってしまう事すらあり得る。
それだけじゃない、ザジは星読みの魔女だ。記憶喪失の原因がもし魔女の力の暴走だったとすれば、取り戻した直後に記憶の情報量が多過ぎて頭の中がパンクしてしまい、意識が混濁することも考えられる。正直に言えば、リスクが大きいのだ。
そのことに気付いていたザジは目を閉じ、大きく深呼吸をしてから口の端を釣り上げて笑った。
「ま、これも良い機会や。いつまでも頭の中にポッカリ抜けとる部分があるっちゅうのもモヤモヤするし、アニマの器にも興味が湧いてきよった。記憶を取り戻して力も使えるようになるなら、一石二鳥や」
「なんだか前向きですね、ザジさま。わたしもその姿勢を見習いたいです」
いや、リタは十分過ぎるぐらい前向きだと思う。これ以上ガンガン行くようになったら下世話な話だけど、ジャンゴの身が持たなくなるのでは……?
えっと、精力剤でも渡してあげた方が良いのかな……? いや、でもそんなモノ送られたら、男の人は色んな意味で困惑するに決まってるだろうし……う〜ん……。
「(前から密かに思っとったんやけど、シャロンって地味にムッツリ系やよね。基本的に表には出さないけど、見えない所でムンムンしとるっちゅうか……)」
「(確かマスターがシャロンさまのことを以前、大人しそうに見えて実は意外と妄想がたくましいと言っていましたよ)」
「(そういや次元世界の人間に対する恐怖心も色々事情があったとはいえ、正直どこか行き過ぎな気もしとったんや。こう、限られた人や先入観だけで抱
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