暁 〜小説投稿サイト〜
歌集「春雪花」
319

[8]前話 [2]次話



 春の野に

  出でて想わば

   朝靄に

 浮かぶは侘し

    有明けの月



 空が白み、山の端より朝日が差し始める。

 若草の緑を眺め、彼を想い…一人溜め息をつく…。

 見上げれば朝靄の中、うっすらと月影が浮かび…その消え行かんとする光に侘しさを覚えた…。


 私の想いもまた、彼にとっては些末なものであり…霞み消え行くものなのかも知れない…。



 夜に暮れ

  朝に暮れし

    恋ならば

 わが身の朽ちて

   忘るるものかな



 夜になれば彼が恋しく息をつき…朝になれば彼を想い虚しくなって…。

 昼も夕もまた…こうして彼を想い続けては淋しく、悲しく、愛おしく思い続けるのならば…


 きっと…私は死ぬまで忘れることなぞ出来はしないのだろう…。

 彼への恋心を…。




[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ