長芋でスタミナを・その1
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「はふぅ……」
疲れきった溜め息を吐きながら、カウンターに突っ伏している女が一人。
「どうした?珍しく疲れきってるな」
「だって……み〜んな私の言う事聞いてくれないんですよ?遠征の旗艦は私なのにっ!」
むぅ、と顔を膨れっ面にしながら冷や酒を煽る。ブハーッと酒臭い息を吐き出しつつ、グラスをズイッと前に突き出して来る。
「おかわりっ!」
「いい加減にしとけよ阿武隈。そりゃあ明日はお前非番かも知れんが……」
そう、俺の目の前で管を蒔いていたのは阿武隈。第ニ改装が実装されて改ニとなった彼女は、半ば便利屋と化していた。大発も積めれば甲標的も積める。対潜装備もしっかりしたのを積めば先制雷撃と先制爆雷を同時にやってのける等々、色々な場面で仕事がこなせる娘に『化けた』のだ。その甲斐もあって錬度もメキメキと上がり、戦艦や空母の活躍が多い我が鎮守府では数少ない軽巡のケッコンカッコカリを果たしたのが半年位前か。
「む〜、旦那様ならもう少し奥さんを労ってくれてもいいと思うんですけどっ?提督」
ダメだこりゃ、完全に酔って目が据わっちまってら。大概の酔っ払いはこうなるとテコでも動かない。
「はぁ、仕方ねぇなぁ。じゃあお疲れモードらしい嫁さんにうってつけの物を食わしてやるか」
大袈裟にそう言いながら、今朝方届いた大きな荷物をカウンターの上にドン!と乗せる。おが屑にまみれて姿を現したそれは……
「な、長芋?」
「そうだ、青森の知り合いが送って寄越してな。今の時期の長芋は“春掘り”だから美味いぞ〜?」
長芋の本来の旬は11〜1月の晩秋から冬にかけての時期。しかしわざと土の中に残して更に成長と熟成を促し、雪融けの4月、5月に掘り出す獲り方もある。それが春掘りだ。春掘りの長芋は秋掘りの物に比べると瑞々しさでは劣るものの、その分旨味や栄養価が凝縮した濃厚な味になる。寧ろ春掘りの方が美味い、なんて言うグルメもいる位だ。
「今日はこいつで長芋尽くしといこうじゃねぇか」
長芋と来たらまずはやっぱり、『とろろ』だろうな。濃い目の出汁で溶いたとろろを熱々の飯にかけて……ん〜堪らん。俺も食いたくなって来たし、とっとと作ろう。
《お好きな山芋で!麦とろご飯》※分量2人前
・山芋:250g
・かつお出汁:100ml
・醤油(出来れば薄口):大さじ2
・味醂:大さじ1
・米:1.5合
・押し麦:0.5合
・青のり:適量
さて、長芋を擦る前に麦飯を炊く準備をしておこう。とろろに合わせるなら白飯でもいいが、やっぱり麦飯の方が美味いからな。米を研いで一旦ザルにあけて水を切り、炊飯器に入れて米の分量通りの水を入れる。麦飯を炊く時の比率は、大
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ