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風魔の小次郎 風魔血風録
54部分:第六話 霧の中でその一
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第六話 霧の中でその一

                  第六話  霧の中で
「・・・・・・以上です」
「そうですか。あの十聖剣の一つがあそこに」
「白虎の報告によれば」
 雷電と闇鬼が夜叉姫の前に控えていた。そのうえで報告している。武蔵は部屋の奥に立っている。
「そのうえ林彪を一時離脱に追いやったとのことです」
「見事です」
 そこまで聞いてまずは満足気に微笑む夜叉姫だった。
「流石は八将軍。林彪を倒しただけでなくそこまでしてみせるとは」
「それで今白虎はどうなっている?」
 後ろにいたのは武蔵だけではなかった。壬生もいた。その壬生が雷電達に対して問うたのだ。
「帰って来たのだな」
「重傷だが命に別状はない」
 闇鬼が彼に答える。
「当分戦線復帰は無理だがな」
「そうか。生きているならいいが」
「ですが姫様」
 闇鬼は今度は夜叉姫に対して言う。
「柳生邸は風魔の現在の本拠地となっています」
「それは知っています」
「はい。ですから迂闊に攻めることはできません」
 彼が言うのはそれであった。
「それはわかっています。それに」
「それに?」
「戦死こそしていないとはいえ八将軍の三人が動けなくなった」
 彼女はこのことに眉を顰めさせた。顔に不吉な険が走りその整った顔を後ろにある般若に酷似したものにさせていた。
「このことはあまりにも大きいです」
「制圧していた地域の動揺がかなりのものになっています」
 また闇鬼が言う。
「しかも霧を使う男が何かと動いていたようです」
「霧を。ではそれは」
「はい。おそらくは霧風」
 闇鬼は夜叉姫に答える。
「あの男でしょう」
「八将軍がいない間に周辺地域の工作を仕掛けてきた」
「尚且つまたあの銀色の髪と目の男達が目撃されています」
「あの者達も」 
 夜叉姫の顔の険がさらに険しくなる。
「一体何者なのか」
「わかりません。ですが彼等が何かの意図を持って近頃出没しているのは明らかなようです」
「銀色の髪と目を持ち白い超長ランの男達」
 夜叉姫はその姿をイメージしそのうえで己の記憶を検索した。しかし出て来るものは何もなかった。
「わかりません。何者なのか」
「まずは彼等のことはいいでしょう」
 武蔵が夜叉姫に述べてきた。
「それよりも姫様、次の試合ですが」
「シンクロナイズドスイミング」
「はい、それです」
「次に出す八将軍は」
「是非この雷電を」
 まず雷電が名乗り出た。
「御願いします」
「そして私も」
 続いて闇鬼も名乗り出た。
「是非共。二人で」
「二人ですか」
「はい、今度の闘いは負けられません」
 闇鬼は言う。
「ですから二人で。御願いします」
「武蔵」
 夜叉姫は自分では即決しなかった。こ
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