巻ノ八十七 佐々木小次郎その六
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「旅を続ける」
「そうするか」
「そしてじゃ」
「うむ、時が来ればな」
「その時に決着をつけようぞ」
宮本に不敵な笑みを浮かべて言った。
「是非な」
「望むところ。ではな」
「それに相応しい場所でな」
「そうしようぞ」
「ではな」
こう話してだ、佐々木も去った。主従は彼とも別れの挨拶をし宮本とも道場の者達とも別れの挨拶をしてだった。
九度山への帰路についた、その時にだ。根津は幸村に言った。
「実はならず者達を抑える時に」
「宮本殿に教えてもらった剣術をじゃな」
「使いました」
そうしたというのだ。
「実際に」
「そうであったな」
「おわかりですか」
「うむ、剣術がじゃ」
まさにというのだ。
「前よりも鋭くなっておった」
「だからですな」
「拙者もわかった」
そうだったというのだ。
「あの時にな」
「そうでしたか」
「よいことじゃ」
幸村は笑ってこうも言った。
「早速身に着けるとはな」
「左様ですか」
「そうじゃ、宮本殿の剣術はよかった様じゃな」
「一刀と二刀の違いがありましたが」
それでもとだ。根津は幸村に話した。
「宮本殿の太刀筋は素晴らしいものでしたので」
「御主も参考になったか」
「非常に」
「それでか」
「はい、太刀筋に早速出ていたと思います」
「わかった、ではじゃ」
根津の話を聞いたうえでだ、幸村は言った。
「これからはな」
「その備えた剣術を」
「戦の場で使うのじゃ」
「そのつもりです」
「これで御主はさらに強くなった」
幸村はこうも言って微笑んだ。
「よいことじゃ」
「全くです」
「これから修行を積もうぞ」
「殿もですか」
「当然じゃ、拙者も強くなくてどうする」
こう根津に返した。
「戦の場で働けぬ」
「だからですな」
「これからも強くなる」
また言った。
「そうなる」
「左様ですな」
「うむ、しかしな」
「しかしとは」
「戦にまたなると思うが」
それでもとだ、幸村はこんなことも言った。
「若しやな」
「戦にならぬやもですか」
「そうなるやも知れぬ」
「その場合は」
「我等は九度山でな」
まさにあの山の中でというのだ。
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