第79話 幻想月読
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
..がぼ......とす」
「う......う」
「!?」
大音量の発狂しそうな映像に悲鳴が上がる中、次々と意識を失って倒れていく。そのようすに人々に恐怖に引き攣り逃げ出そうとするが逃げ場なんてないに等しい。
「何がどうなっているのよ?さおりー」
携帯が震えて取り出す。通信状態が回復したのか少しだけ安堵して携帯に耳を掛けるがモニターと同じ音と映像が絶え間無く流れ出して「ひぃぃ」と悲鳴をあげて投げ捨てる。
騒動で投げ捨てられた携帯が街灯が消えた交差点で不協和音を鳴らしながら人々の往来に踏まれてへし折られていき画面の破片が飛び散る。
倒れた人の頭部からはまるで意思を持ったかのような白く光る糸が空高く伸びていきある一点の地点に突き刺さるように収斂していく。
「始マッタカ」
黒ゼツがゆっくりと立ち上がり大混乱に陥る群衆を虫けらを見るように眺めた。
「そっすね〜。木山のレベルアッパーを改良した奴っすから」
「木山ハ能力ノ無イ者ニダケ限定シテイタカラナ。今度ハ無差別ダナ」
丁度1ヶ月前に起きた幻想御手(レベルアッパー)事件では能力が無い者が能力を得る為に使用し、1万人の脳を並列に繋げる事で演算能力を上げていた。
能力が無い者は様々な事を考慮しても基礎的な演算能力が能力者よりも弱い傾向にある。
よって無能力者よりも能力者の方が演算能力が高く、レベルアッパーの効果は指数関数のように急上昇する。
しかも今回は個人が使用する音楽プレーヤーではなく大衆の若者の大多数が使っている携帯から外部モニターを使った大規模なレベルアッパーのテロを引き起こしたのだ。
「さて何人残るっすかね〜」
「コレデ粗方線引キガ出来ルナ」
「負の感情も良い感じになるっす〜」
******
何が起きましたの?
停電になったと思ったら急に不快な音が流れて......黒い粒に包まれまして
ジャッジメント本部からテレポートして初春と共にやけに不気味に静まり帰った学園都市に降り立った。
路地裏や店先には逃げ場を求めた末に意識を無くした男女様々な学生が折り重なるように倒れている。
音は止んでいるようで静寂が却って未知なる恐怖を強くさせる。
「ひとまず息があるかの確認ですわね。意識がある人も探しませんと」
「そうですね」
電話も何もかも通じないこの場で出来る事は限定されるが能力を駆使すればなんとかなりそうだった。
倒れている人の首に手を当てて脈があるのを確認すると仰向けに寝させる。
どうやら意識だけがないようですわ
何やら前に似たような事が起きたような気がしますわね
「白井と初春か」
「!」
黒い外套を身に纏ったサソリが不意に曲がり角から姿を現した。
その姿にホッとしたように初春が駆け寄った。
「サソリさん!無事
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ