第十二幕その一
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第十二幕 林檎と卵
十二時まで時間があります、それでです。
アンは皆と十二時まで王宮のトレーニングルームで卓球をしようと言いました、皆もそれならと応えてです。
皆で卓球を楽しみます、その中で。
アンはカリフ王と卓球をしつつです、カリフ王に言いました。
「ノーム族は最初は卵はね」
「うむ、見るだけでな」
「駄目だったわね」
「卵を産む鳥さえな」
「ビリーナもそうだったわね」
「うむ、怖くて仕方がなかった」
それこそというのです。
「かつてはな」
「そこまでだったわね」
「怖くてだ」
それこそというのです。
「見たくもなかった」
「卵に触れただけで死んでいたし」
「それ程だったからな」
「じゃあ今は」
「そこまではいかなくなった」
「完全にオズの国の住人になってね」
「うむ、死ぬことはなくなった」
オズの国の住人は死にません、オズの国が大陸全土はおろか地下にまで至ったのでそうなったのです。
「卵に触ってもな」
「触っても平気よね」
「今ではな、だが」
「食べるとなのね」
「これが駄目だ」
「アレルギーね」
「かなり重度のな」
死ななくなってもというのです。
「そうなってしまうからだ」
「卵も卵料理も食べられなくて」
「料理に卵を使っていてもだ」
「駄目なのね」
「そうだ、だから我々の料理には卵を使わない」
それも一切です。
「そうだった、しかしな」
「それでもなのね」
「若しもあの林檎が卵アレルギーを無効化してくれるなら」
それならというのです。
「有り難いことだ」
「卵の味は好きなの?」
「いや、好きと言われてもだ」
それでもというのです。
「食べたことがないからな」
「それで、なのね」
「美味いかどうかはだ」
「知らないの」
「何しろ食べたことがないのだ」
昔は触れただけで死んで今は重度のアレルギーになってしまうからです、アレルギーになることはノーム族がオズの国の住人になった時にオズマに教えてもらって知っています。
「美味いというが」
「ええ、卵料理は実際にね」
「美味いのか」
「美味しいわよ」
アンは卓球のスマッシュを放ちつつカリフ王に言います、二人共相手のボールを左右に動きつつリズミカルに打ち返しています。
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