遭遇
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『オーディナル・スケール、起動!』
結論から言えば、クラインが提案した儲け話というのは、やはりオーディナル・スケールのボス戦の参加だった。世界が塗り替えられていく光景を、ずいぶんとこなれた様子で見物しながら、生成された日本刀《銀ノ月》の柄を掴む。隣ではアスナやクライン、風林火山のメンバーも同じくARの装備となっていて、どうやら今日のステージは野球場のような――それにしてはやけに天井が低いが――スタジアムだった。。
「クラインさん、改めてありがとうございます」
「なぁに、良いってことよ。こっちとしても、頼りねーギルメンより役に立つしよ」
「頼りねーリーダーより、《閃光様》に指示された方がやる気も出るから、の間違いだろ?」
「うっせ!」
風林火山の他のメンバーの野次に笑いが起きながら、内心ではもちろんクラインに感謝しておく。ボス戦の場所が直前まで分からないこの仕様では、いくら複数ボス戦があると言っても、足がない俺やアスナは参加できない。そこをクラインに車が送ってくれると進言してくれたため、なんとかボス戦に参加できていた。
「それでアスナよぉ。やっぱキリの字は来ないって?」
「えっと……キリトくん、やっぱりARは嫌いみたいで」
「ったくよー……ま、その分をプレゼントで驚かしてやりな。あ、ショウキはお前、終わったらなんか奢れよなー」
「善処する」
あいにくとモチベーションが低いキリトがいないことを残念に思いながら、それでも俺もアスナもこの場にいる。《オーグマー》によって拡張された視界の端に映る、リズへのプレゼントが貰えるポイントまでは遥か遠い。
「ふふ。プレゼントを贈る人、増えちゃったかな。ね、ショウキくん」
「いやいや、奢ってもらうのはショウキにだけでよ……ん? でもアスナかショウキかからプレゼント貰えるなら、どっちか考えるまでも……」
「9時だ!」
どうでもいいことで悩みだしたクラインを尻目に、残酷ながら時間は止まることはなく。時刻が9時――オーディナル・スケールにおいて、ボス戦の時刻を回る。天井が低いながら設置された観客席が光に包まれると、いつものマスコットを引き連れたユナが出現する。
『こんばんは〜! 今日は歌ってるところ近いから、私をちゃんと守ってね!』
「い、いや……それはいいけどよ。ユナちゃん、ボスはどこにいんの?」
『ん〜?』
ユナが出現した観客席の近くにいたプレイヤーを代表して、虎頭のプレイヤーがバズーカの銃口を下げてユナに挨拶した。マスコットにマイクを持ってきてもらいながら、ユナは指を顎に当てて何か考え込むようなポーズを取った。
『もう、いるみたいだよ?』
「え?」
「――退がって!」
ユナの含み
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