東京湾岸倉庫街対ランサー戦
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誰であり、脇役は誰なのか、監督は誰で、脚本家は?そして観客は?
その事象における観測者達の観測によって、事象が決定し、その時の配役で物語に影響力を持ちえる場合、このお札の効果が発生する訳です」
「……人生は己の物語の主役であると同時に、誰かの物語の脇役である……か。
深いわね」
若宮分析官が苦笑まじりに呟くと、村田警視は更に突っ込んでくる。
職業柄、この手の疑問は気になる人なのかもしれない。
「じゃあ、その時その時の配役は誰がどう決めるんだ?」
「今の仮定だと、当事者の私が『若宮さんを撃った』で、観客になる村田警視が『若宮さんを殺した』になりますが、当事者である私は『若宮さんを撃った』までしか意識していません。
だからこそ『若宮さんを撃った』で事象が確定し、身代わりのお札が介入する余地が出てくる訳です」
そこで私は一息ついて、最大の懸念をあっさりと口にした。
「で、どんな場所にも華があるとか、人気があるとかで注目を浴びる人が居るでしょう?
そういう人が見て周囲が納得したりすると、必然的に彼の物語に事象が改変されます。
そういう連中のことを、我々は『英雄』と呼んでいる訳です。
で、英雄を英霊として使役して行われるのが聖杯戦争という訳です」
やっと私の言いたいことが理解してくれたらしい。
英霊、つまりサーヴァントからの攻撃にこれの効果は薄いという事に。
なお、挨拶土産にアンジェラ書記官にも渡したのだが、がっつりと肩を掴まれて、万単位での発注を言われたのは笑い話。
戦場における、紙一重の幸運の付与と捉えたらしく、ある意味合理的だなと苦笑したのは内緒。
日米揃っての踏み込み捜査だが、困ったことに魔術スタッフは私しか居ない。
法的な捜査令状は既に用意してあるので問題はないが、前に来た時と違って人払いの結界が張られているらしく捜査員の侵入を阻んでいた。
まずは、その結界の解除と罠の確認と解除を行わないといけない。
安全を考えて、日米の捜査員を数十メートル下げる。
万一化物が襲ってきた事を考えて、私も向こうから持ってきたガチ装備に着替える。
「OH!Magician girl!!」
「ハリウッド映画で見たな。こんな格好」
日米の捜査員からの視線と口笛に地味に恥ずかしいがこれも狙ったもの。
今日の衣装は東京特有のなんちゃって制服コーデなのでどう見ても場違いのコスプレにしか見えないが、封魔の首飾り・浄化の杖・至福の聖石・神秘のベールという対魔術師用ガチ装備。
万一の対魔術戦で最低限アラヤの制止力に言い訳する程度の衣装だったりする。多分日米の捜査員は対魔術の資料として撮影しているだろうし。
ぽちもこそっと待機しているので、負けるつも
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