東京湾岸倉庫街対ランサー戦
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アトラム・ガリアスタのサポート工房は、湾岸地区の外れの倉庫にあった。
私と若宮友里恵分析官と村田浩一郎警視は、警察車両の中で踏み込む前の打ち合わせをする。
今回は、この他に内調スタッフが五人、警視庁より八人の人間がやってきている。
なお、アンジェラ・サリバン三等書記官率いるCIAのチーム人員は18人。
いかに米国がこの件でガチかというのが伺えよう。
そんな向こうのチームは渋滞に捕まって、到着が送れていた。
「あ。そうだ。
安倍さんからもらったお札がありますので、身につけておいてください。
少しは幸運になると思いますよ」
私が差し出した身代わり札を見て胡散臭そうに見つめる村田警視。
同じような顔をしている若宮分析官が私に当然の質問をした。
「絵梨ちゃん。
あなたと安倍さんの事は信用しているけど、これ効果があるの?」
「そうですね。
身代わりというよりも、事象情報に対する介入と言った方が現代社会に生きている我々には通じやすいでしょう」
私は手で銃を作りそれを撃つ仕草をする。
相手は若宮分析官で、私の仕草に何をしているのか頭に疑問符を浮かべた。
「たとえば、私が銃で若宮さんを撃ったとしましょう。
この場合撃った事実は変えられないから、必然的は弾は若宮さんの方に向かいます。
けれども、確定事項は『若宮さん撃った』という事で、『若宮さんの生死』はまた別なんですよ」
「なんとなく読めてきた。
これを持っていると、弾が逸れると」
若宮分析官の言葉の先回りに私は苦笑する。
残念ながら、そこまてせ便利なものでもないのだ。
「そこまで便利なものだったらいいんですけどね、大量配布するって事はそれだけ効果を薄めている裏返しです。
『当たったけど助かった』ぐらいに考えてくれると助かります」
ここで村田警視が疑問の声をあげる。
その疑問はある意味当然だった。
「すまない。
質問なんだが、『若宮さん撃った』ではなく、『若宮さんを殺した』場合はどう効果を発揮するんだ?」
「そのまま、若宮さんが殺されます。
これがこの身代わり札の厄介な所なんですよ。
根源、こっちではアカシックレコードといった方がいいですかね。
何でも書かれているという事は、どんな選択肢も無数に用意されている事を意味します。
その為、どんな未来が選択されるのかは、その事象における観測者によって決定されるんですよ」
このあたりは占い師なんてのをしている神奈の専売特許である。
だからこそ、安倍さんと同じくこの手のお札作成スキルは私も有しており、神奈を財政的に支える収入源の一つになっていたり。
「人生を舞台と考えてください。
その物語の主役は
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