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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
SAO編ーアインクラッドー
03.消えた希望
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剣に閃光をまとわせる。大型の昆虫は怯んでいて抵抗することなくすべての斬撃を身体へと受けた。気持ち悪い悲鳴を上げて光の欠片となり消滅する。

「よっしゃぁ、レベルアップ!!」

 ハルキが両手をあげて喜ぶ。

「やったな、ハルキ!」

「良かったね、ハルキ」

 他の皆もそれを喜ぶ。そんな光景をシュウは少し複雑な気持ちで眺めながらゆっくりと片手剣を背中の鞘へと戻した。


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 仮想の太陽が土手で寝転がっているシュウの身体へと降り注いだ。感覚機能まで再現されているのか眠気が襲ってくる。眠気を覚ますように情報量の多い攻略情報の新聞を広げた。その見開きページに記されていた記事を見てボソッと呟いた。

「……攻略組が第二十八層を突破か」

 新聞には、【攻略組が第二十八層攻略、今回も死者ゼロ】という記事がデカデカと一面を占めていた。

「……攻略組か」

 そもそもなぜ攻略組を避けたのだろうか。あの殺伐とした空気が嫌だったからなのか。シュウが本来はビーターであることを周りの攻略組に隠しているからだろうか。その理由はシュウの中でも明確な理由はなかった。
 ただ、このままの状態で攻略を続けても意味がない気がした。それは勝手な思い込みなのかもしれない。
 それを確かめるなら、答えを出したいなら再び攻略組へと戻るのが一番の答えへの近道となる。だが、今のシュウは《希望》と一緒にいるのが楽しかった。そんな一時を壊されたくなかった。自分が嘘をつき続けているというのにだ。なんとも自分勝手な自分が嫌になる。
 そんな嘘をついてでも彼らと一緒に居たかったんだ。それほどシュウにとっての彼らは特別な存在だった。

「……希望か」

 ボソッと呟いて不器用な笑みを浮かべる。

「どうしたの、急に笑っちゃって?」

「うわぁ!!」

 突如として聞こえた少女の声に情けない声を上げて、上半身飛びを起こす。黒髪のセミロングの少女が寝転がるシュウの顔を悪戯するような笑みを浮かべて覗いていた。

「シュウってたまにボーッとしてるよね。まぁ、そこが可愛いんだけどね」

 ミサキがいつものような無邪気な笑みを浮かべる。その笑顔に少しの時間見惚れてしまう。顔が紅潮するのを感じ、それを隠すために声を上げた。

「うるせぇ! ほっとけ!」

「そんな怒らなくてもいいじゃんか」

 必死で赤らめた顔を隠すがそんなこと御構い無しにミサキは抱きついてくる。

「これで許してよね」

 耳元で彼女の優しい声が聞こえる。背中に柔らかな感触が伝わってくる。いつも胸当てをしておりそんな感触が伝わってくるわけがない。つまりミサキは悪戯をするためにわざわざ防具まで外したというわけだ。
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