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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
SAO編ーアインクラッドー
03.消えた希望
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た顔を上げるとそこには、無邪気な笑顔をこちらへと向ける少女の顔が数十センチの距離にあった。
思いがけない距離感にシュウは後ろへと仰け反り、背もたれにかなり力が加わった。そのまま二本脚重心となった椅子が倒れそうになるのをギリギリで持ちこたえ、元の状態に戻る。そして少女と距離をとるように椅子を後ろに引いた。黒い綺麗な髪の襟足が肩にかかるくらいの長さ。その顔立ちは少し幼さが残る同年代くらいの少女が無邪気な表情で前のめりになっていた体勢を元に戻す。
「ねぇ、私たちのギルドに入らない?」
紅潮している頬を隠すように視線を逸らしているときに思いがけない言葉が聞こえた。
「急になに言い出すんだよ、ミサキ!」
「だって、強い人がいた方が私たちのギルドの名も上がるし、そうすれば念願の攻略組の仲間入りができるかもしれないんだよ」
無邪気な笑みを浮かべながら身振り手振りを織り交ぜてミサキと呼ばれる少女は説明する。
彼女が憧れているほど攻略組というのはいいものではない。殺伐とした空気。こんなデスゲームになったから仕方がないことだがこの空気は好きになれない。その中ででしゃばり過ぎても、やらなさ過ぎても降りかかってくる敵視するような無数の目。このデスゲームの中であってもこのルールだけは変わらないのだった。
そんな空気から逃げたくてゲームという偽りの世界に逃げ込んだというのにだ。
「でもな……」
ダイキが困ったような声をあげ、わずかにシュウの顔を見る。
このギルドに攻略組に入って欲しくはなかった。あの空気の中に入れば、彼らも変わってしまうかもしれない。しかし心のどこかでは、このギルド、《希望》ならばあの殺伐とした空気を壊してくれるのかもしれないという期待が心によぎってしまう。
シュウはダイキの顔を見て、不器用な笑みを浮かべながら答えを出した。
「俺も入るよ……このギルドに」
これがミサキたちとの出会いだった。彼女たちとの出会いがこの現実と偽りが交差する世界での人と関わりすぎることを恐れた一人の人間の生き方を形作ってしまった。これがすべての始まりだった。
このデスゲームの中でこの時だけは心を許し、心から楽しみ、そして……心から人を好きになった。そんなわずか一週間の物語を語るとしようか。
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二〇二三年五月六日 第二十層・巣窟
攻略済みの二十層。迷宮区の少し手前の森林フィールド内に昆虫の奇声が響き渡った。カマキリを模したような大型の昆虫のモンスターの右の鎌を片手剣単発技、《バーチカル》で真上に弾き、バランスを崩させる。
「ハルキ!! スイッチ!!」
「おう、任せろ!!」
シュウの言葉に反応したハルキが前に出て、短
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