暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
SAO編ーアインクラッドー
02.槍剣士とビーター
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だ。
 コボルドロードが腰から武器を抜き取った。
 ───それはタルワー……違う!!
 タルワールにしては刀身が細すぎる。それはベータ時代に上位階層のプレイヤーたちを苦しめた武器……野太刀だ。

「だ……ダメだ、全力で後ろに跳べ────ッ!!」

 喉が張り裂けんばかりのキリトの絶叫が部屋の中へと響いた。

「ディアベル待て!!」

 その声は無情にもコボルドロードのソードスキルのサウンドエフェクトにかき消された。
 コボルド王の巨体が空中へと跳び上がる。俊敏な動きで天井を、壁を蹴り上げて縦横無尽に動き回る。ディアベルはその動きについて行けていない。完全に死角に入ったところで威力が溜めこまれた野太刀が落下する力加え、深紅の竜巻が解き放たれた。
 ───カタナ専用ソードスキル、重範囲攻撃《旋車》
 それは一瞬のうちにHPの半分以上を抉り取っていった。
 範囲攻撃のくせに一撃でHPを半分以上持っていく威力もだがそれ以上に厄介なのは、一時的行動不能状態──スタンを発生させることだ。
 大技であるがゆえに技後硬直(スキルディレイ)も長い。その間にディアベルを助けに行くこともできた。
 しかしあまりの衝撃的な光景にその場の誰も動くことができなかった。
 その隙に硬直から回復したコボルド王は追い打ちをかけ、正面で倒れるディアベルの身体を床すれすれの軌道から高く斬り上げた。
 ───ソードスキル《浮舟》
 上空へと高く上げられたディアベルの身体へと上、下、一拍溜めの突きが放たれた。
 ───三連撃技、《緋扇》
 野太刀は抵抗することもできないプレイヤーの身体へと容赦なく襲いかかった。
 彼のアバターは前衛を任されていたレイドの頭上を軽々飛び越え、センチネルを相手するレイドたちの元まで吹き飛ばされてくる。
 シュウはその光景に相手にしていたセンチネルへと強引に《ホリゾンタル》を放ち、胴体を真っ二つに引き裂いた。わずかなディレイが終わるとともにシュウとキリトは駆け出す。

「ディアベル、なぜ一人で」

 二人がディアベルの元へ向かった時にはHPは風前の灯に近かった。キリトが回復アイテムを使用し、ヒールさせようとするがそれをなぜか青い髪の青年は拒んだ。

「お前らも……βテスターだったら……わかるだろ」

 それはディアベルが飛び出した時にシュウが不意に思った通りだった。

LA(ラストアタック)ボーナスによるレアアイテムドロップ。お前もβ上がりだったのか」

 ディアベルは、少し微笑む。

「頼む……ボスを倒してくれ……みんなの……ために」

 ディアベルの体が青白い光に包まれて徐々に不鮮明になっていく。そして光の欠片となりシュウたちの前から消滅した。それはまるでモンスターが消えるときのよう
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