暁 〜小説投稿サイト〜
相良絵梨の聖杯戦争報告書
聖杯戦争 前夜
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
んの二人しか居ない状況で何ができるかという訳で。

「若宮分析官に頼んで人間を増やしましょう。
 安倍さん。
 ここに何人送り込めます?」

「事情を知ってて電話番と書類整理だけなら五人。
 そのうち冬木まで送り込める術者となると、一人だね」

 最低限司令部としての機能ははたせると見た。
 後は、外部からの参加をどうお断りするかだ。
 また携帯が鳴る。
 今度は誰かと思ったら、若宮友里恵分析官からだった。

「ああ。ちょうどかけようと思っていたのですよ」
「嬉しいわね。
 こんなに仕事が多いと徹夜で肌に悪いのに」

 まだ冗談が言えるレベルである。
 これでも。

「米国が我々の抗義に対して非公式に謝罪したわ。
 一応会社が窓口になる事は確認されたけど、やらかした連中はまだ諦めていない。
 沖縄に色々集まっているそうよ」

 覇権国家ともなると意思決定が伏魔殿であり、その内部はヤマタノオロチのように複数の頭を持つ化物みたいなものだ。
 我々の官僚機構と同じく、組織権益については激しい鍔迫り合いが発生している訳だ。
 で、ここで問題なのは、明確な大量破壊兵器である聖杯の考え方で、この二組織で考え方がずれている事。
 CIAは対外工作組織として日本の自主性を尊重しつつ、聖杯に群がるテロ組織等を潰す餌にしようとしている。
 一方、中東で前線に立つ国防総省系工作組織は、この聖杯が中東に渡る危険性を考えて、日米安保を盾にして聖杯そのものの排除を狙っている。
 ここに、日本の自衛隊派遣と日米首脳の友好関係が絡むから、もうややこしい事この上ない。

「ちょっと、聞いてる?
 絵梨ちゃん?」

「聞いていますよ。
 聞きたくないですけど、状況が急転してすべて投げ出したいですけど、聞いていますよ。
 こちらからも報告です」

 ついさっきまでの電話の内容を語ると、電話向こうなのに頭を抱える若宮分析官の姿が見える。
 なお、私も同じように頭を抱えたかったが、できる訳がない。

「中東のテロ組織だけど、今の所入国情報は入ってきていないわ。
 問題は東側の亡霊とナチの残党なんだけど、そのアインツベルンが絡んでかなりやっかいなことになっているわ」

「彼ら何をやらかしたんですか?」

「手を組んで、新潟からのフェリーで堂々と乗り込んできたわよ。
 ロシア物産展フェアの催し物に隠れてね。
 人数は16人。
 後でFAXを送るわ」

「こっちに人員を送ってください。
 私と安倍さんだけでは司令部として機能しませんよ」

「わかったわ。絵梨ちゃん。
 三人送るわ」

「若宮さーーーん!
 敵側16人でこっち三人ですか!?
 聞いてないですけど、沖縄の愉快な方々って何人ぐ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ