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相良絵梨の聖杯戦争報告書
聖杯戦争 前夜
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立つか知らないですが、無いよりはましでしょう」

「ありがとうごさいます」

 私の携帯が鳴る。
 相手は、村田浩一郎警視からだった。

「神奈君か。
 今、京都?
 それはいい。
 安倍さんにも伝えてくれ。
 フランクフルト発の成田直行便に怪しい客が見つかった。
 一人は男性客で、恋人と一緒に乗ったというのだが、その恋人が機内で消えたらしい」

 スピーカーを最大にして安倍さんにも聞こえるようにすると彼は即座にメモを取る。
 この情報が正しいならば、女性サーヴァントで暗示の魔術が使えるという事だ。
 良い可能性ならば機内で魔力が尽きた、悪い可能性ならば日本に来たので魔術的何やらで飛行機を降りた。
 どっちもありえるから困る。

「それともう一つ。
 こっちの方が本命なんだが、別便のフランクフルト発の成田直行便にアインツベルン名義の三人組の乗客が居た。
 フランクフルト側は照会中だが、不思議なことに成田の入国管理官は誰も覚えていないそうだ。
 今、空港の監視カメラとパスボートの写真を照合して確認している」

「そっちのFAX頂けますか?」

「分かった。
 今から送る」

 送られたFAXには三人の名前と写真があった。
 見る限りでは仲の良い三姉妹に見えなくもない。

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、セラ・アインツベルン、リーゼリット・アインツベルン。
 フォンがついているって事は、イリヤスフィールって子がマスターって事なんだろうが、こんな子供も人殺しの宴に送り込むのか!魔術師は!!」

 村田警視の怒りに理解はしつつも警戒は解かない。
 こんな子供でもなんとかなるかもしれないのが魔術の厄介な所でもある。

「今回の聖杯戦争が突発的に発生したからでしょう。
 ある程度の周期で聖杯戦争の時期が予測できるから、彼女の十数年後、もしくは彼女の次の世代が本来は参加者だったかもしれないんです。
 御三家と言われる名門が不参加なんてしたらそれぞ笑われますよ」

 勝てるとは思えないが、参加だけはすると私は判断する。
 そうなると、セラとリーゼリットという二人が実質的な戦力もしくはマスターと見た。
 FAXを見た安倍さんがぽつりと呟く。

「アインツベルンはホムンクルスで有名な家だ。
 この二人、場合によっては三人全員か。
 ホムンクルスかもしれないね」

「アインツベルン家は欧州でも有名な家で、米国からの政治的圧力をうまく跳ね返している。
 正直、ここが動き出すとこちらも手が出せない」

 村田警視の言葉に私は絡め手を使うことにする。
 有名な家というのは叩けばホコリが出るものだ。

「村田警視。
 こっちに来るお客様で、ナチの残党と東側の亡霊が
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