なにも、いらない。
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てた。
片想いだった時期も、付き合ってる時期も、何処か諦めていた。
一生叶わないんだって、そう思い過ごしていた。
「…………」
今は、欲求が叶えられているのか
今の僕は、本当に…
「ただいまぁ〜」
僕の巡っていた思想は、ドアの音とその声によって現実に引き戻された。
「?どうしたんだよ、ボーッとして」
「い、いや、何でもないよ。おかえり、黒崎」
「ひぇ〜疲れたぜー。ほんっと相変わらずコキ使うんだからよォ店長の奴」
「君を雇ってるんだから当たり前だろ。今ご飯の用意するよ」
「おう、サンキュー」
「…あ、ただいまのちゅーは?」
「さっさと着替えてこい直ぐにだ」
「チッ、石田のケチヤロウ」
ぶつくさ言いながら寝室に入って行くのは、僕の待ち人、同棲してる恋人の黒崎。
高2の時から数えて約一年8ヵ月。
同棲して丁度2ヶ月が経とうとしていた。
同棲しようと言い出したのも黒崎からの提案だった。
色々ありはしたが、何とかうちにも黒崎の家にも了解を得て今に至る。
「今日の飯何?」
「シチューとポテトサラダ」
「おーうまそう、いただきます!」
「…こら、もう少し行儀良く食べなよ」
よほどお腹が空いていたのかがっつく様にご飯を頬張る黒崎に注意を促しつつ、その様子を見る僕。
…本当に子供みたいな奴だな。
……いや、犬か。
「?何だよ、じっと見つめて」
「別に何も」
「ははーん、さてはさっきのただいまのキスをして欲しかっ「片付かないからさっさと食え」…うぃーす」
?欲しい物は何ですか??
「…………」
ーーー僕の一番欲しいモノは。
「……黒崎」
「んぁ?」
「…ご飯粒ついてる、口のとこ」
* * *
「……黒崎、」
「ん?」
「君が今、一番欲しい物って何だい?」
「一番欲しいものぉ?」
風呂上りにソファーでTVを見ながら寛ぐ黒崎に、さっきのTVの内容と同じ質問をしてみた。
黒崎は欲しい物かぁ〜…と呟きながら口に手をあてて考えてる。
「…あ、そういや最近電子レンジの調子悪くね?そろそろ買い直すか?」
「まだ使えるからいいよ。そうじゃなくて」
「そういやお前洗濯機の調子も悪りぃっつってたな。来月多めにバイト代ありそうだから買い直せると思うぜ」
「それは僕が欲しいって言っていた物だろう。君は質問の意味を理解出来ていないのかい」
「だ
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