暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ネザーVSユージーン
[1/10]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
雲海のかなた、(おぼろ)に浮かぶ巨大な。空を支える柱かと思うほどに太い幹が垂直に天地を貫き、上部には別の天体にも等しいスケールで枝葉が伸びている。

「あれが世界樹か」

隣で、ネザーも畏怖(いふ)の念がこもった声音で呟いた。

山脈を超えたばかりのこの地点からは、まだリアル距離(きょり)置換(ちかん)で20キロメートル近く隔っているはずのその大樹は、すでに圧倒的な存在感で空の一角を占めていた。根元に立てばどれほどの光景となるのか想像もつかない。

3人はしばらく無言で世界樹を眺めていたが、やがてネザーが口を開き、言った。

「リーファ、領主会談の正確な場所はわかってるのか?」

「えっ、ええ、まあ」

冷ややかな音声による突然の質問に、リーファは少なからず動揺したが、すぐに答えた。

「ええと、今抜けてきた山脈は、輪っかになって世界中央を囲んでるんだけど、その内3箇所に大きな切れ目があるの。サラマンダー領に向かう《竜の谷》、ウンディーネ領に向かう《虹の谷》、あとケットシー領に繋がる《蝶の谷》……。会談はその蝶の谷の、内陸側の出口で行われるらしいから……」

リーファはぐるりと視線を巡らせると、北西の方角を指した。

「あっちにしばらく飛んだとこだと思う」

「それだけわかれば充分だ」

「残り時間はどのくらい?」

「……20分」

「会談を襲うつもりなら、サラマンダーは、あっちからこっちへ移動するわけか……」

キリトは南東から北西へと指を動かした。

「俺達より先行してるのかどうか微妙だな」

「何にせよ、急ぐしかない」

ネザーがそう言うと、キリトは即座に頷いた。

「そうだな。ユイ、サーチ圏内に大人数の反応があったら知らせてくれ」

「はい!」

コクリと頷き交わし、3人は翅を鳴らして加速に入った。





「それにしても、モンスターを見かけないなぁ?」

雲の塊を切り裂いて飛翔しながら、キリトが言った。

「あ、このアルン高原にはフィールド型モンスターはいないの。だから会談をわざわざこっち側でするんじゃないかな」

リーファの説明に、ネザーは感心を抱いた。

「なるほど。重要な話の最中にモンスターが湧いてくるのは興醒めだ。ならば両種族が時間的に効率よく会える安全な場所を選ぶのが得策だ」

するとキリトがニッとイタズラっぽく笑う。

「でも、この場合はありがたくないな」

「どういうこと?」

「さっきみたいにモンスターを山ほど引っ張っていって、サラマンダー部隊にぶつけてやろうと思ってたんだけどな」

「……よくそんなこと考えられるわねえ」

「作戦としては悪くないが、今回は洞窟で襲ってきた時以上の大部隊が待ち
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ