暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ネザーVSユージーン
[10/10]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
となって、そのダメージは凄まじいものとなった。ユージーンのHPバーが一瞬でイエローゾーンに突入する。

だがネザーはそこで止まらなかった。右手の片手剣を素早く引き戻すや、尚も再度の攻撃体勢に入ろうとするユージーンへと、左の長刀で眼でも捉えられないほどの連続技を浴びせた。一呼吸で4発も繰り出された垂直斬りの軌跡が、宙に美しい正方形を描いてサラマンダーの巨躯(きょく)を包み込んだ。

「………!!」

驚愕の表情を浮かべたユージーン将軍の上体が、右肩口から左腰にかけて、無音でスライドした。パッ、と正方形の光が四方へ散った。

直後、巨大なエンドフレイムを巻き上げ、アバター全体が燃え崩れた。

誰1人、身動きするものはいなかった。

シルフも、ケットシーも、50人以上のサラマンダー攻撃部隊も、魂を抜かれたように凍り付いていた。

それほどまでに、ハイレベルな戦闘だったのだ。

通常、ALOの戦闘は、近接ならば不恰好に武器を振り回し、遠隔ならば芸もなく魔法をぶつけ合うのがスタンダードだ。防御や回避といった高等技術を使えるのは一握りの熟練プレイヤーだけで、見栄えのする戦闘などというものはデュエル大会の上位戦でもなければお目にかかることはできない。

だが今の、ネザーとユージーンの戦闘は明らかにそれ以上だった。

流れるような剣舞(けんぶ)、空を裂く高速エアレイド、そして何よりユージーンの天地を砕かんばかりの豪剣と、それを打ち砕いたネザーの超高速の二刀流。キリトのテクニックにも引けを取らないネザーの剣技、恐るべし。

最初に沈黙を破ったのはサクヤだった。

「見事、見事!!」

張りのある声で言い、両手を高らかに打ち鳴らす。

「すごーい!ナイスファイトだヨ!」

アリシャ・ルーがそれに続き、すぐ傍らにいたキリト、そして背後の12人も加わった。盛大な拍手に混じって、口笛を鳴らすわ「ブラボー」などと叫ぶわ大変な騒ぎだ。

リーファはハラハラしながらサラマンダー達の様子を見遣った。指揮官が討たれた上にこの有様ではさぞかし心中穏やかではあるまい__と思ったのだが。

驚いたことに、拍手の波は瞬く間にサラマンダー軍にも伝染していった。割れんばかりの歓声を上げ、長大なランスを立てて旗のように振り回す。

「わぁ……!」

リーファは思わず笑顔を浮かべた。

今まで、敵__無法な強奪者としか見ていなかったサラマンダー達も、やはりそれ以前に同じALOプレイヤーだったのだ。彼らの心を揺さぶるほどに、ネザーとユージーンのデュエルが素晴らしかったということか。

不思議な感動に囚われながら、リーファも一生懸命両手を叩いた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ