暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
橋上の決着
[5/9]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
。腰からは鞭のようにしなる尾。禍々しいその姿を表現する言葉は、《悪魔》以外になかった。
だがネザーには、その悪魔が何をイメージして作られた幻影なのかがわかっていた。
「二刀流で初めて倒した、記念すべき相手だな」
ネザーは内心で呟きながら、その悪魔を懐かしそうな眼で眺めていた。
サラマンダー達は皆凍りついたように動きを止めていた。その場の全員が魂を抜かれたように見守る中、黒い悪魔はゆっくりと天を振り仰ぎ__
「ゴアアアアア!!」
轟くような雄叫びを上げた。今度こそ、
誇張
(
こちょう
)
でなく世界が震えた。体の底から、原始的な恐怖が沸き起こる。
「ひっ!ひいっ!!」
サラマンダー前衛の1人が、悲鳴を上げて数歩後退した。その瞬間、恐ろしいスピードで悪魔が動いた。鉤爪の生えた右手を無造作にシールドの列に開いた隙間へと突き込み、その指先が重武装の戦士の体を貫いた__と見えた瞬間、赤いエンドフレイムが吹き上がって、サラマンダーの姿は?き消すように消滅した。
「うわあああ!?」
たった一撃で仲間が倒れるのを見た残る2人の前衛は、
異口
(
いく
)
同音
(
どうおん
)
に恐慌の叫びを上げた。盾を下ろし、左手の武器を振り回しながら、ジリジリと後ずさっていく。
後方のメイジ集団の中から、リーダーの者と思しき怒鳴り声がした。
「バカ、体勢を崩すな!奴は見た目とリーチだけだ!今まで通り陣形を保てば、ダメージは通らない!」
しかしその声は戦士達には届かなかった。漆黒の悪魔は大音量で吠えながら飛び掛かると、右の戦士を巨大な
顎門
(
あぎと
)
で頭から咥え、左の戦士を鉤爪で掴み上げた。激しく振り回され、叩きつけられたアバターから、ゴ、ゴッ!と連続して赤い
断末魔
(
だんまつま
)
の光が放たれ、まるで
鮮血
(
せんけつ
)
の如く飛び散った。
3人の前衛が消滅するのに、10秒もかからなかったろう。気を取り直したように再びリーダーの指示が飛び、メイジ集団がスペル詠唱を始めた。だが、アーマーの類は一切身につけず、赤いローブを纏っただけのピュアメイジの集団は、前衛と比べるといかにも脆そうで__シュルルル、と呼気を吐き出しながら
屹立
(
きつりつ
)
した黒い悪魔に、幻惑魔法の効果以上の恐怖心を煽られたようだった。詠唱速度が、これまでよりも格段に遅い。
スペル詠唱が終了する寸前、メイジ隊に向かって悪魔は大きく右腕を振り上げ、横一文字に薙ぎ払った。前面にいた2人がボロ切れのように吹き飛ばされ、宙で次々と赤い炎を撒き散らし、消滅。悲鳴と、ガラスを叩き割るようなバシャッ!という効果音が空に満ちる。間を置かず巨木の如き左腕が唸り、再び2名のサラマンダーが四散する。
つい
数瞬
(
すうしゅん
)
前までは集団の中央にいた一際高級そうな魔道装備を身に纏ったメイジが、
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ