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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
橋上の決着
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差はあれ、結局は全ての者が擬似的な《死》に慣れていく。VRMMORPGというジャンルのゲームをプレイする上で避けられない体験として、それぞれに折り合いをつけていくのだ。そうでなければこの《ゲーム》は《遊び》になり得ない。

だが__ネザーとキリトの瞳に浮かんでいたギラつくような光は、リーファがかつて見たことのないものだった。システム的にはもう覆しようのない状況に抗い、懸命に生存の道を探ろうとする意思がそこには渦巻いていた。瞬間、リーファはここがゲームの仮想世界であることを忘れた。

「うおあああああ!!」

仁王立ちになったキリトが吠え、ピリピリと空気が振動した。

「このっ!」

スペルを詠唱しながら無数のダーク・スフィアを放つネザーは、弾幕を張るかのように敵の火球を防ぎ続ける。

敵の火力が途切れた一瞬の隙を突いたキリトは、聳え立つシールドの壁に無謀としか言えない突進を敢行。大剣は右手に下げ、空いた左手をシールドのエッジに掛けると無理矢理に抉じ開けようとする。思いがけないアクションに、サラマンダーの隊列が乱れた。わずかに開いた防壁の隙間に、右手の大剣を強引に突き立てる。

壁戦士の鉄壁の防御を、魔法も使わずに密接して崩そうとするキリトの戦法、そしてALOを始めて間もないニュービーにしてはかなりいい線を行ってるネザーの闇属性魔法。そんな2人の戦いは、古株のリーファでも見たこともなかった。そもそも、攻撃にすらなっていないその動作では、とても効果的なダメージは望めない。だが、冷静に対応するネザーとは真逆に、狂乱とも取れるキリトの行動は、盾の内側から戸惑いの叫びが上がった。

「くそっ、なんだこいつ……!」

その時、ネザーの耳に相棒の声が届いた。

「ネザー!いい作戦が閃いたから協力してくれ!」

「……っ!?」

一瞬、唖然する。焼け石に水、という言葉をネザーは飲み込んだ。普段はおバカキャラとしか見ていないキリトの瞳は真剣で、今の自分と同じ確固たる意思を宿していた。作戦の全般を聞きたいところだが、そんな暇もなかった。

「……わかった!とりあえずやれ!」

今の自分には状況を打開するような効果的なアイディアがないため、キリトの思いつきに賭けることにした。

直後、メイジ達の火球が再び雨となって襲いかかる。ネザーは舌を噛みそうなほどの早口でスペルを詠唱し、ダーク・スフィアを無数に放つ。爆撃機による空爆を思わせる甲高い音を引きながら火球の群が天を切り裂いた。シールドの壁に取り付くキリトを、次々に咲く火炎の花が書き込み__

「ふっ!」

ネザーは広げた右手に爆圧のフィードバックを感じながらも、咄嗟に発動させた防御魔法のフィールドでキリトを包み込んだ。

「ナイスタイミングだ、ネザー」


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