潜入せよ!!エバルー屋敷!!
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いと言ってのけるというのは、どういう事だ。
「も…もしかしてこの本、貰ってもいいのかしら?」
「いやだね。どんなにくだらん本でも我輩のものは我輩のもの」
「ケチ」
「うるさいブス」
ならば、と言ってみたがダメらしい。どこか面倒そうに投げつけられたブスの一言が突き刺さる。
「燃やしちまえばこっちのモンだ」
「ダメ!!!絶対ダメ!!!」
「ルーシィ!!!仕事だぞ!!!!」
ここまで来てもなお抵抗を続けるルーシィに、流石のナツも耐え切れずに怒鳴る。こっちだってギルドの名を背負って仕事をしているのだ。ファンだか何だか知らないが、私情で依頼の遂行を妨害するべきではない。
その意味を込めて睨むと、それが伝わったのかルーシィが俯く。一度ナツの手にさえ渡れば、燃やすのは一瞬だ。燃やせればあとは屋敷を出るだけなのだから、それで今回の依頼は終わり―――
「じゃ、せめて読ませて!!!!」
「ここでか!!?」
一切伝わっていなかった。仕事完遂が遠のく。
ぺたりとその場に座り込んだルーシィは、真剣な眼差しで日の出を読み始める。まさかの行動にナツとハッピーだけでなく、エバルーさえもぎょっとしたように目を見開いた。
だが、目の前で自分の所有物である本に手を出されて黙っていられるエバルーではない。
「ええい!!!気に食わん!!!偉――――い我輩の本に手を出すとは!!!来い!!!バニッシュブラザーズ!!!!」
怒りに震えながら声高に叫んだ先、伸ばした手が指すのは壁中にある本棚のうちの一つ。他の棚と同じように本をぎっしり詰めたそれが、エバルーの声に反応して重々しい音を立てて左右に開いていく。
「やっと仕事の時間か」
「仕事もしねえで金だけもらってちゃあ、ママに叱られちまうぜ」
開いた先には隠し通路。右側の棚の側面には“隠し扉”、左側の棚の側面には“御開帳”の文字。そして奥には、人影が二つ。
「グッドアフタヌーン」
「こんなガキ共があの妖精の尻尾の魔導士かい?そりゃあママも驚くぜ」
右に立つのは、長い髪を一本の三つ編みに結わえた男だった。何か意味があるのか、額に“上”、顎に“下”、左頬に“右”、左頬に“右”と書いてある。背中には、武器なのか巨大な平鍋を背負っている。
左に立つのは、右側の男に比べると頭二つ分は背の高そうな大男だった。逆立った髪にバンダナを巻き、こちらは武器の類を持っていないようだ。
そして二人とも、肩から下げる形で紋章を描いた布を下げている。描かれているのはアルファベットのS、その上に目つきの鋭い狼の顔。それに気づいたハッピーが叫ぶ。
「あの紋章!!傭兵ギルド“南の狼”だよ!!」
「こんな奴等雇ってたのか!?」
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