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エターナルユースの妖精王
潜入せよ!!エバルー屋敷!!
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ァンなのよ―――!!!うっそぉ!!?ケム・ザレオンの作品、全部読んだハズなのに―――!!!未発表作って事!!?凄いわ!!」

やっぱりそうだ。太陽の絵の下、控えめに小さな字で綴られているのは“KEMU・ZALEON”の文字。ルーシィが憧れてやまない、大好きな作家の名前だった。自然と顔が輝く。
が、ナツからすれば誰が書いたものだとかはどうでもいい。この本の破棄が今回の仕事なのだから、それを書いたのがいかに凄い人であっても関係ないのだ。

「いいから早く燃やそうぜ」
「何言ってんの!!?これは文化遺産よ!!!燃やすなんてとんでもない!!!」
「仕事放棄だ」
「大ファンだって言ってるでしょ!!!」
「今度は逆ギレか…」
「じゃあ燃やしたって事にしといてよ!!!これはあたしがもらうから!!!」
「ウソはやだなあ」
「聞いたでしょ!!?この世に一冊って…燃やしちゃったら二度と読めないのよ!!!」

ナツから守るように大事そうに本を抱え込んだルーシィは、なかなか折れそうにない。とはいえいつまでもここで言い合っている訳にはいかないし、さてどうしたものかとナツは腕を組む。
―――と、そんな時だった。

「なるほどなるほど、ボヨヨヨヨヨ……」

めき、と小さな音がした。はっとして音の発生源に目を向ける。
塵一つ残さず綺麗に磨かれた床に、亀裂が入っている。下から押し上げられるように、盛り上がった床の欠片が勢い良く宙を舞う。床に開いた穴から、黒い何かが飛び出した。
丸いフォルムのそれが、丸めていた短い手足を伸ばす。飛び出した際の圧で潰されていた髪がぴんと立ち、髭がくるりと上を向く。

「貴様等の狙いは“日の出(デイ・ブレイク)”だったのか」
「!!」
「泳がせておいて正解だった!!我輩って賢いのう、ボヨヨヨヨ」
「ホラ……もたもたしてっから!!!」
「ご……ごめん」

床に大きく穴を開けて飛び出して来たエバルーの奇妙な笑い声が響く。ナツが悪態をつきながら拳を握り、本を抱え直したルーシィが謝り、人が飛び出してくるなんてこの屋敷の床はどうなっているのかとハッピーが床をじっと見つめる。
本は見つかった。狙いのそれがこちら側にある以上、依頼完遂自体は容易い。問題はルーシィが本を手放さない事であって。

「フン……魔導士共が何を躍起になって探してるかと思えば……そんなくだらん本だったとはねえ」
「!!?くだらん本?」

どしっと重量感のある音を立てて着地したエバルーの一言に、ルーシィが目を見開く。
今手元にあるこの本は、この世でたった一冊の本だ。その上作者はかのケム・ザレオン。本好きの中でなら、その価値はかなりのものだろう。だというのに依頼主は大金を払ってでも破棄したいと望み、持ち主であるはずのエバルーですらくだらな
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