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エターナルユースの妖精王
潜入せよ!!エバルー屋敷!!
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すやつだぞ、それ》
「おっと」

見つかるとか何やってんだアイツ等、という呆れなのか。それでアイツ等は無事なのか、という心配なのか。きっと両方だろう。いつも通りのポーカーフェイスにうっすらと激情を滲ませた顔はただ怒っているだけの顔よりも恐ろしくて、背筋を冷たいものが這っていく。
慌てて世話係の名前を出すと、はっとしたように目を見開いてから口元を押さえた。相変わらずベディは弱点のようで、ちょっと顔が青くなっている気さえする。流石ベディ、と内心で呟きつつ続ける。

《ま、見つかったとしても大丈夫だろ。お嬢ちゃんと青猫はともかく、あの短気そうなツンツン頭が何もしないとは思えないしさ》
「…まあ、そうだな」
《で、流石に普通に割ったら音でバレるから、丁度良さそうなタイミングを待っていたってワケ。よし、これで俺に出来る説明は終わり。これ以上を求められても困るぜ?》
「いや、十分だ」

ぱん、と手を叩いて顔を覗き込む。満足そうに口角を吊り上げたニアに笑みを返して、床に転がる狼の飾りを踏みつけた。
今頃向こうはどうなっているのだろう。誰にも触れられていないはずの魔水晶(ラクリマ)が持ち上がって、突然地面に叩き付けられて、割れて。現状を把握する術を失った相手側は慌てているのか、それともこれくらい計算の内だと笑っているのか。
まあ、どちらであれど構わない。邪魔をするのであれば殴るだけ。やる事なんて、あの頃と大差ないのだから。

《そんじゃまあ》
「ああ、行こうか」










「いけない!!!きっと誰か来るわ!!!どっかの部屋入りましょ!!」
「来るなら来いでござる!!」
「いいから隠れるの!!!」

あのメイド達を撃破したのが一撃だったとはいえ、派手だったのに変わりはない。屋敷が広かろうがエバルーの耳が仮に遠かろうが、今の騒音を立てておきながら誰にも気づかれない、なんて事はまずないだろう。
顔に巻かれたままのマフラーを引っ張ってナツを引きずって、一番近い部屋に逃げ込む。勢いよく扉を閉めて、ようやく一つ息を吐いた。

「ふぅー、危なかったあ。てかアウトよね…」
「うおお!!スゲエ数の本でござる!!」
「あい!!でござる」

まだ忍者気分が抜けきらないらしい二人の言葉につられるように部屋を見回す。
今凭れかかっていた辺りを始め、部屋の壁という壁が背の高い本棚で埋め尽くされ、一冊の隙もないほどぎっしりと詰められていた。あの低い背では上の方に届かないのか梯子がいくつか本棚に立てかけられている。

「エバルー公爵って、頭悪そうな顔してる割には蔵書家なのね」
「探すぞ――――っ!!!」
「あいさ――――!!!」

手近な本に指をかける。探している本ではないが、人気のシリーズものだ。


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