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エターナルユースの妖精王
潜入せよ!!エバルー屋敷!!
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短く答えて立ち上がる。壁に背を預けた上でしゃがみ込み膝に手を添える、なんて大の男がやるには些か可愛らしすぎる気もするが、それを口に出すと間違いなく不機嫌になるので心の中に留めておいた。彼の機嫌を損ねるなんていうのはパーシヴァル自身嫌っているし、あの厄介な二人を敵に回すのは勘弁願いたいのだ。
フードをちょっと引っ張って深く被り直したニアは、そんなパーシヴァルの内心に全く気付かないまま窓に近づいて手をかけた――――のを見て、慌ててその腕を掴んで止める。

《ちょ、アーサー待って!!ストップ!!!》
「?誰もいないなら問題ないだろ」
《確かに誰もいないんだけど、それでも待て!!!ハウス!!》
「犬かオレは」

怪訝そうに眉を寄せたニアの腕を離し、顔の前に右手を突き出す。そりゃあ説明を怠ったこちらに非があるのは解っているのだが、それにしたって注意力がなさすぎやしないだろうか。パーシヴァルが見落とした罠があるかも、くらいは頭の片隅に置いておいてほしい……いや、それはそれで信頼されていないようで悲しいのだが。
とにかく、今から敵の本陣に切り込むというのに軽すぎる。友達の家に行くんじゃあるまいし。

《いいか、アーサー。俺がいいって言うまでは入ってくるなよ。絶対、絶対だぞ!!?》
「……それは、別にいいけど…危ない事はするなよ?」
《あ、その辺は大丈夫。危ない事は何にもないから。むしろあと一歩で危なかったというか》

ぱちり、少し見開かれた水色の目が瞬きを一つ。

「マジか」
《マジです。アーサーはもうちょっと注意力付けようなー?大体何とかなるし死にゃあしないからって気ィ抜きすぎ。万が一が起きてからじゃ遅いんだぞ》

そう力説するが、ぴんと来ないのか首を傾げている。思わず溜め息を吐いた。
生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの戦場に何度も立っているはずなのだが、彼は本当に注意力がない。奥に罠があるかもしれないけどまあいいか、なんて考えの楽観的思考なのだ。そのくせそれが自分以外の事となると真逆になるのだから、他人に対するそれをいくらか自分の為にも使ってほしいと常々思っている。
……まあ確かに、彼に降りかかる様々な危機に対して周囲は人一倍敏感だった。当の本人が気づく前に周りが察知しては排除する、なんて事もしばしばあった。というかパーシヴァルはその中の筆頭だった自覚がある。世話役はあの二人だったが、護衛という意味で最も近くにいたのは自分だったのだ。そりゃあニアの危機には誰より目を光らせるし、降りかかりそうになれば全力で排除に当たった。
なんというか、ニアは過保護に扱われ過ぎた節がある。いや、そう扱ったのは自分達なのだが。もちろん厳しく接する事もあったし厳しく接する役目を自らに課していた人もいたのだが、それにしたって周囲があれこれと世
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