暁 〜小説投稿サイト〜
エターナルユースの妖精王
潜入せよ!!エバルー屋敷!!
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わ……小っさ…」と呟いてしまったが、どうやら聞こえていないらしかった。

「とにかく暴力だけはダメよ、暴力だけはね」
「……」
「何よその顔!!!」
「お前、言ってる事とやってる事違うぞ」

ルーシィの注意に納得いかずに下唇を突き出すと、チョップが返って来た。暴力禁止令はどこに行ったのか。思わずツッコミを入れてから、軽く痛む額を撫でて窓に向き直る。
鍵は内側。かといって窓を割れば音で気づかれてしまう。出来るだけ静かに、気づかれないようにと事前に決めていた手段を取るべく、魔力を込めた右手を窓ガラスに押し当てた。

「よっと」
「さすがね、火竜(サラマンダー)

当てた手の下から焼けるような音がして、触れていた部分のガラスがどろりと溶けていく。掌が通るほどの穴を作れば、あとは鍵を開けるだけだ。
音を立てて鍵を回し、外開きの窓を開けて中に入る。室内は薄く埃を被った骨董品で溢れ返っていた。

「ここは物置か何かかしら?」
「ナツ、見て〜」
「お!似合うぞハッピー」

どこから見つけてきたのか頭蓋骨を被るハッピーにナツが笑う。

「そこの扉から出れそうね。行きましょ!慎重にね」
「ねえ、ルーシィも見てー」
「うるさい!!ネコ」

少し遅れて入って来たルーシィが扉を指す。
変わらず頭蓋骨を被ったままのハッピーと、びっくり箱を開けて驚いているナツを、狼の乗った水晶が見ていた。







ギィィ、と軋む音がした。薄く開いた扉の奥からハッピーが顔を出し、きょろきょろと辺りを見回す。辺りに人影がないのを確認してから一度扉を閉め、すぐ傍で待機しているルーシィを見上げた。

「誰もいないよ」
「それ、取りなさいよ。気味悪いから」

頭蓋骨を被ったままのハッピーに言うが、余程気に入ったのか外す様子はない。仕方がないのでそのまま部屋を出て、音に気を付けつつ扉を閉める。壁に背中をぴったりと付け、しゃがんだまま静かに移動を開始する。
その体勢で数歩も進まぬうちに、腕まで壁にくっつけたナツが口を開いた。

「おいルーシィ。まさかこうやって、一個一個部屋の中探してくつもりなのか?」
「トーゼン!!」

右人差し指を口元に添えて声のトーンを下げるよう促し、背中を壁に付けたまま立ち上がりながら頷く。

「誰かとっ捕まえて本の場所聞いた方が早くね?」
「あい」
「見つからないように任務を遂行するのよ。忍者みたいでかっこいいでしょ?」
「に……忍者かあ」








誰もいなくなった物置。開いたままの窓に手をかけて、陰からこそっと中を覗き込む。本当に誰もいない事を確認して、パーシヴァルは頭を一度引っ込めた。

《ん、大丈夫。アイツ等はもう出てってるよ》
「そうか」

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