かつての仲間も・・・
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「逃がすか!!」
「待て!!」
別空間を作り出そうとしている彼を止めようとした赤黒い髪の青年だったが、それを色黒の男性が止める。
「行かせていい。これ以上はこっちにも利点はない」
俺たちと剣咬の虎がいるとあっては、まだ他のギルドの魔導士もいるだろうと考えているらしい。それは正解だから、ここで逃げることは容易にできるだろう。
「立てるか?シリル」
「手を貸して頂けると・・・」
向こうが攻撃を仕掛けてくる気配もないので、気が変わらないうちに退散しようとする。その際腰が抜けている俺はローグさんに抱き抱えられる格好になり、ちょっと恥ずかしい。
「それに、あの変身野郎の相手は俺たちじゃない」
「??」
逃げる際、ボソッと呟いた声が聞こえ首をかしげる。その意味がその時の俺たちには、よくわかっていなかった。
第三者side
ピリリリリリリッ
横たわる三人の女性を見下ろす茶髪の女。そんな彼女の腰元につけられた魔水晶から、大きなアラーム音が鳴り響く。
「チェッ、呼び出されちゃった。いいとこだったのに」
アラーム音を消すと傷だらけで自分を睨み付ける三人を再度見下ろす。
「全く私に歯が立たないあなたたちにご朗報です。私は今から本部に帰らなければならなくなりました。なのでここで見逃しておいてあげます」
そう言って三人に背を向けて歩き始める女性。しかし、それから数歩歩くとすぐに足を止める。
「セイバーの二人、グラシアン・カイザーも来ているのか?」
「あ・・・あぁ・・・」
ほとんど動けない中でされた問いかけに力なく答えるミネルバ。それを聞いた瞬間、女性を口角がわずかに上がった。
「だったらあいつに伝えておいて。イザベリーがよろしくってね」
それだけ伝えると再び歩みだし、その場を離れていくイザベリー。取り残された三人は互いの状態を確認し合う。
「大丈夫ですか?ミネルバ様、ジェニー様」
「妾はなんとか・・・だがジェニーが・・・な」
ドス黒く変色した足を押さえているドレス姿の女性を見る。彼女の脚は通常ではありえない方向に曲がっているようで、それを見た二人は思わず青ざめる。
「ユキノ、二人で念話の届く範囲までジェニーを運ぶぞ」
「はい!!」
痛む体にムチを打ち、歩けない女性に肩を貸してヨタヨタと歩き出す。その際ミネルバの頭には、先程の言葉がひどく残っていた。
「グラシアンの知り合い・・・か?」
タッタッタッタッ
人気の少なくなってきているクロッカス
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